それでもバーナンキがQE3を縮小する理由 HSBCチーフエコノミスト/ケビン・ローガン氏に聞く
同時に、バーナンキ議長はFRBのバランスシートがあまりに拡大しすぎて将来の政策余地を狭めることを恐れている。このまま行けば4兆ドルに達するが、あまりにも大きなバランスシートを抱えてしまうと、金利を引き上げたり、債券を売却したりする場合の市場へのインパクトが大きくなり、ボラティリティが拡大してしまう。景気に対して大きな混乱を与える影響がある。
バランスシートの縮小は償還にしたがって自然体で
――そうした懸念がある中で、今後の政策変更はどのような順番で行われるのでしょうか。
第1ステップとして、QE3の購入規模の縮小を開始する。今年の下半期に少し購入の額を減らし、経済に大きな問題が出なければ、徐々に、減らしていき2014年の半ばにはゼロまで持っていく。9カ月かけてゆっくり減らすということだ。QE3終了時点ではバランスシートは大きいままで、FFレートもゼロのままだ。
第2ステップとしては、現在行っている償還された債券の分の再投資をやめて、償還に応じて徐々にバランスシートが縮小していくということになるだろう。償還期の来ないものを売却することはしないと見ている。ほんの少し売っただけでも、市場はどれだけ売りがくるか分からないと考え、金利が跳ね上がり、市場が混乱する恐れがあるからだ。
第3ステップがFFレートの引き上げで、これは2015年第3四半期だろう。2015年末にはFFレートが1%というのがFOMCのメンバー中心的な見方だ。2016年にはFFレートは3%、2017年以降は4%と見ている。バランスシートは債券の償還に従い自然体で時間をかけて縮小し、2020年にようやく、通貨流通量の伸び(1年当たり5%)と同じパスに戻るだろう。
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