新興国から北米ブームへのプレリュード

市場動向を読む(為替)

さて、S&Pは、今月、米国債の格付け見通しを変更する前に、実はブラジルの格付け見通しを引き下げている。S&Pは2006年から2011年にかけてブラジルのソブリン格付けをA-まで引き上げてきた。今後、実際に格下げとなれば、2002年以降で初となる。

しかも、今回、S&Pがブラジル国債と共に、石油公社ペトロブラスの格付け見通しも引き下げたことは注目に値しよう。ペトロブラスはボベスパ株価指数の約10%を占める巨人だが、2010年に超深海油田であるプレサル油田の開発資金調達を目的に史上最大の増資を実施。需給懸念で自身の株価が下がったばかりか、ボベスパ指数が大勢天井をつける転換点となった。

中国などでの需要伸び悩みに加え、米国でのエネルギー革命を始めとした供給サイドからの圧力で、原油や天然ガスなどエネルギー価格は上値の重い状況が続いている。それに加え、エネルギー開発が始まった米国に投資資金が集まりやすくなってきており、従来ほどブラジルなど新興資源国には資金が流入しにくくなったという事情もありそうだ。豪ドルが下落圧力にさらされているのも同じ理由だろう。

新興国ブームから北米ブームへ

筆者は、過去5年の新興国ブームが、向こう5年ほどでエネルギー革命を核とする北米ブームにとって代わられると見ている。既にその現象は市場で顕在化し始めているのである。

ポジティブな側を象徴するのは、今春のニューヨーク株の史上最高値更新であろう。新興国時代を代表してきた中国で株式市場の低迷が続く中で、米国株式市場が史上最高値を更新したことは、まさに新興国ブームから北米ブームへの転換を暗示する出来事だったと思う。

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