新興国から北米ブームへのプレリュード 市場動向を読む(為替)

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新興国の混乱は、投資家の投資マインドを冷まし、このところの米株の上値の重さ、日本株急落の遠因ともなっている。4月以降、日本国債市場が混乱し、円市場金利が上昇したことも、本邦投資家が外債投資を増加させるとの期待を薄め、FRBの出口戦略に対する不安感を台頭させたと言う側面もあったのかもしれない。

ドルは対円で底入れ、再びドル高円安へ

こうした中、為替市場ではリスク量削減のための持高調整により、円買い圧力が高まった。その結果、ブラジルレアルを始めとした新興国通貨や豪ドルなどの資源国通貨が米ドルに対して値を崩す中で、その米ドルが円やユーロなどの欧州通貨に対しては下落するという、米ドルの「股裂き」現象、「二極化」現象が生じた。

だが、今月18、19日のFOMCの際、バーナンキ議長は来年半ばにかけて金融緩和の終焉を計っていく考えを示したことを切っ掛けに、新興国通貨の下げが加速する中でドル円は底入れ、反発色を強めた。米ドルの「股裂き」現象がFRBの引締め観測を背景とする「米ドル高」相場へ転換する兆しが出てきた。

高島 修 シティグループ証券チーフFXストラテジスト

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たかしま おさむ

1992年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入社。99年から為替資金部で欧州担当、米国担当アナリスト、通貨オプションセールスを歴任。2004年チーフアナリスト。10年3月にシティバンク銀行へ移籍。13年5月末からシティグループ証券に所属が移る。機関投資家から高評価受ける。

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