折れない人が実践する「嫌な妄想」を絶つ方法 TEDでブレイクした人気セラピストが語る

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これを裏付ける最新の研究結果がいくつもあります。たとえば、抑うつの傾向がある学生を2グループに分け、一方には認知療法のワークブック(自分の気持ちや考えを明確に認識する内容)、もう一方には勉強の課題をやってもらったという実験があります。その直後と4カ月後に気分の状態を測定したところ、思考のループになりやすい人は、認知療法のワークブックをやったときのほうが、抑うつが悪化することがわかりました。

このように、たとえネガティブな考えを修正するためであっても、いやな気分や考え方を思い出させることは危険なのです。

もちろん、誰かに聞いてほしい、気持ちを共有したい、と感じる人は、話すことでうまく気持ちを処理できる可能性があります。しかし、語りたくないのに無理に語るということは逆効果になるということです。自分が話したいのか話したくないのか、心の声を聞くことが大切なのです。

とくに怒りという感情は、思考のループを引き起こす代表的な要因です。どうにも怒りがおさまらず、寝返りを打ちながら腹立たしいできごとを脳内でリピートした経験は誰にでもあるでしょう。思い出すたびに怒りは増幅し、いっそう頭から離れなくなっていきます 。

さらに、それを口に出すことによって人間関係がうまくいかなくなってしまう危険性もあります。先ほど、「語る」ことが逆効果になる可能性もあるといいましたが、さらに語ることが家族や友だちに負担をかけるというデメリットもあるのです。本人は「ひどいよね」と共感してもらいたいのですが、相手にしてみれば、暗く出口のない話を何度も何度も聞かされることは、非常に苦痛に感じられるのです。

「もういい加減にしてくれと友人に言われたけれど、どうして怒られなきゃいけないんですか?」と尋ねた患者もいました。自分が相手の立場になって考えてみればわかることなのですが、これも正常な思考や判断が難しくなっているからでしょう。

思考のループを止める対策2つ

それでは、救急箱を開いて、心の手当の方法を確認しましょう。

手当てには、思考のループを抑える対策と、周囲の人々に負担をかけている場合は、相手の負担を取り除く対策の計4つがあります。

手当てA 視点を変える
手当てB いやな考えから目をそらす
手当てC 怒りをリフレーミングする
手当てD 周囲の人を思いやる

 

この中から、「手当てA」「手当てB」を紹介します。

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