折れない人が実践する「嫌な妄想」を絶つ方法 TEDでブレイクした人気セラピストが語る

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手当てA 視点を変える

いやなことを思い出すのが、すべて悪いわけではありません。適切なやり方をすれば、回復に役立つことがあります。

心理学者が提唱する効果的なやり方が、「他者視点」です。自分視点で見えている場面を、誰か他人の目で見て、そこにいる自分を客観的に観察するやり方です。

この他者視点の回想によって心理的苦痛が減ることは、いくつもの実験によって実証されています。他者視点を使うと、いやなことを思い出すときの血圧の上昇が抑えられることもわかっています。ストレス反応が低下し、心臓や血管への負担が軽減します。さらに、他者視点を試す実験から一週間が経過した時点でも、思考のループ傾向が明らかに減り、思い出したときの心理的苦痛もかなり軽くなっていることがわかりました。

思考のループがはじまったらすぐに実行できるように

この他人の視点でものごとを見るには、少し練習が必要です。一人きりで落ち着いた時間がとれるときに、ゆっくりと練習してみましょう。

1. らくな姿勢で座るか、横になる

2. 目を閉じて、いやなできごとの最初のシーンを思い浮かべる

3. 視点を後ろに引いていき、視界のなかに自分の姿が入ってくるところまでズームアウトする。電話での会話など離れた場所が関係する場合、画面が真ん中で分かれるイメージで、両方の登場人物を視界に入れる

4. さらにズームアウトして、遠くのほうから自分を眺めている感じにする

5. そこで視点を固定し、距離を保ったままで、起こったできごとをリプレイする。とおりすがりの他人になったつもりで、それを眺める

6. いやなできごとを思い出したときは、つねにこの他者視点に切り替えるようにする

 

時間がとれるときに練習して置いて、思考のループがはじまったらすぐに実行しましょう。次の手当てBと合わせて使うとより効果的です。

手当てB いやな考えから目をそらす

いったん思考のループがはじまると、意識して止めるのは難しいものです。止めようと思えば思うほど、逆に頭から離れなくなります。

「今から5分間、シロクマのことを考えないでください」というテキサス州で行われた有名な実験があります。その結果、多くの人が何度もシロクマを思い浮かべたことを自己申告しました。さらに5分後、「さあ何でも考えていいですよ」と言われると、みんな待っていましたとばかりにシロクマのことを考えはじめました。

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