赤ん坊が泣いても全員ライブを楽しめる方法

「出て行かせる」だけが解決法じゃなかった

公演は、「常識の範囲でわかるよね?」という暗黙のルールのうえで成り立っている。ときどき、「別にいいでしょ。赤ん坊が泣き続けたらダメとは書いてないわけだし!」というモーレツな開き直りで、数分間泣いている赤ん坊をあやしながら、観劇を続ける親御さんがいる。

もしかしたら、通路から離れた席に座っていて、「立ち上がると逆に迷惑がかかる」と思っている親御さんもいらっしゃるかもしれない。

こんな時、僕は、ある程度のところまでは泣いている赤ん坊をイジって、それ以上続くようなら、ロビーに出ていただくようにしている。

これまで、「泣いている赤ん坊を外に出しやがった! ヒドイ奴だ!」と何度も何度も炎上したけれど、やっぱり劇場には劇場のマナーがあって、そこには数千円という大金を握りしめて、ようやくチケットを買った中学生もいるわけだ。僕には、この子達を守る義務があるんだよね。

あと、余計なお世話かもしれないけれど、赤ん坊にとってもとんでもないストレスだと思う。今の状況に対してSOSを出しているわけだから。親がまず最初に助けてやれよ、と。

僕は、その日の公演に来ていない人や、そもそも劇場に足を運んだことすらない人達が、想像でヤイヤイ言おうが、そんなものは意見としてカウントしていない。

いちばん大切なのは目の前にいるお客さん

ライブをする時に、僕がいちばん大切なのは、僕の目の前にいるお客さ
ん。

それこそ、時間とおカネを払って劇場に足を運んだことがない人からすると想像もできないかもしれないけれど、劇場というフィクションの世界から一気に現実へと引き戻す“赤ん坊の泣き声に対するいらだち”は、電車や飛行機の比じゃない。

ちなみに、どのライブでも「他のお客様の迷惑になった場合は、 ご退席していただくこともございます」と必ずアナウンスしてるんだよね。“泣き続ける赤ん坊を放置する”というのは、それにあたるわけだ。

ルール違反じゃなくてもマナー違反ならアウトだし、この場合は単純にルール違反だ。

ただ、「今はまだ子供が小さいから、西野のライブには行きにくい」という親御さんもいるだろうし、初めての育児に疲れて、僕のライブに逃げ込んできた親御さんもいる。

大金を握りしめてチケットを買った中学生も僕のお客さんなら、この親御さん達だって、僕の大切な大切なお客さんなわけだ。

できれば、安心してライブに足を運んで欲しいし、できれば最後までライブを見てもらいたい。せっかく来てくれたお客さんは、僕が一番帰したくない。外に出したいわけがない。

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