ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞、ライブチケットの高額転売問題、世界的に人気を呼んでいる音楽定額配信サービスのSpotifyの日本上陸など、今年も音楽をめぐる話題がいっぱいだ。
注目すべきトレンドがある。世界的にレコードの売り上げが伸びていることだ。国際レコード連盟の調べによると、2014年のアナログ・レコード市場規模は3億4680万ドルで、前年比54.7%増となっている。アメリカではレコード販売数は10年連続で増え続けており、今やアルバム全体の5%を占める。
日本レコード協会の調べによると、我が国でも2015年、レコードの生産数は66万2000枚を記録している。前年の40万1000枚に比べ65%増加した。新譜をレコード限定で発売するアーティストまで現れた。毎年、11月3日にはレコードの日というイベントまで開かれている。
なぜ、今、レコードが売れるのか。これは音楽業界を超えた、変化の兆しなのだ。
PERSONZが処女作を「再録」し、レコード限定発売
9月23日19時。川崎駅から至近のライブハウス「クラブチッタ川崎」には普段、観客が並ぶフロアに機材が円陣のように並んでいた。通常のステージとは違い、ボーカル、ギター、ベース、ドラムが向かい合うかたちだ。暗い会場を、照明が包む。まるで、屋根裏部屋のような雰囲気だ。何かこう、人の部屋を覗いているかのような気分にもなる。
ライブハウスのドアが開く。現れたのは、PERSONZだ。「DEAR FRIENDS」などのヒット曲で知られるロックバンドである。1984年に結成され、1987年にメジャーデビュー。コンスタントに活動を続け、昨年の6月には24年ぶり3度目の武道館ライブを成功させている。
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