アナログレコードがなぜか急成長する理由 PERSONZ「限定リリース」の挑戦から考える

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2人は今の日本の音楽業界に対する違和感について語り始めた。JILLはこう語る。

「音楽を聴く行為というのは、本来、ぜいたくなことなんです。アナログ・レコードから、CD、MD、さらにネットによる音楽配信と、音楽を楽しむ手段は変わり続けてきました。最近では音楽の定額配信サービスも始まりました。でも、何かこう、音楽を消費しているなって。聴いていても、誰の何という曲かわからないし、残らない。

もちろん、聴き手としては便利でしょうし、音楽の楽しみ方は時代とともに変化していくと思います。ただ、アーティストとしては、このままだと生きていけないなと感じる瞬間がありました。作品をつくる必要なんか、ないんじゃないかとすら思えました。作品の希少性が失われていくのではないかと」

音楽は、貴重品であるべきだ

そんな時にPERSONZが注目したのが、アナログ・レコードだった。「レコードをターンテーブルに載せ、針を落とし、聴くという。これは、ながらで聴き流すのとは違った、ぜいたくな行為だと思ったのです」。JILLは言う。

PERSONZのベース・渡邉貢氏

音のほうはどうなのだろうか。CDなどのほうが、音は良いと思っている人も多いことだろう。「単純に良いとか悪いという話ではないのです。アナログ・レコードには、それならではの良さがあります」。渡邉貢はそう語る。川崎での公開レコーディング中に会場のMCで語られたエピソードだが、久々にアナログ・レコードを聴いたドラムの藤田勉は、スネアドラムの音のディティールまで伝わることに感動したという。音の特性が違うという話であり、単に良いとか悪いという話ではない。

ライブ全盛の時代に対しても二人は苦言を呈する。ライブ自体が、画一的になっていないか、演奏力がないアーティストも増えていないか、ライブに行ったところで残念な連鎖が起きていないか。「ライブの時代というのも、終わりかけているのではないですか?」JILLはそう問題提起する。

渡邉貢はこう語る。「音楽は、“貴重品”であるべきだと思うのです。そして、バンドは本来、“面倒くさい”ものなんです。なかなか良い音なんか出せない。でも、それに立ち向かい実現するのがバンドなのです。僕らの基準から言うと、“バンド”とは呼べないものも増えていると感じます」

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