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アナログレコードがなぜか急成長する理由 PERSONZ「限定リリース」の挑戦から考える

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  • 常見 陽平 千葉商科大学 准教授、働き方評論家
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この日、PERSONZはクラブチッタ川崎にてファンクラブPtoPのメンバーの中から選ばれた82名を前に、公開レコーディングを行った。29年前に発表したファーストアルバム『PERSONZ』を全曲、再録音。しかも、アナログのレコード限定で発売するというのだ。レコードプレイヤーを持っていない人のために、ダウンロードコードを付属する。

これを彼らは「RELOAD」と呼んでいる。生み出してきた曲を現在にもう一度蘇らせる取り組みである。アルバム・ジャケットも、気鋭のアーティスト左右田薫氏によりブラッシュアップされる。レコーディング後のライブツアーでも、全曲再現した演奏を行う。アルバムは11月3日からファンクラブ先行でリリースされる。ファーストアルバムを再録音するという取り組み自体もそうだが、それをアナログ・レコード限定でリリースするということは珍しい。

ボーカルであるJILLの“Midnight Teenage Shuffle!”というシャウトから始まったレコーディングは緊張感と、あたたかさが混在した不思議な空気感だった。声の表情、ギターやベースの弦を弾くピックの音まで伝わってくる。ファーストアルバムの曲だけに、長年ライブのセットリストに入っている曲もあれば、実に久々に演奏される曲もある。どの曲も長い年月を経て、よく深くなっている。古臭さはまったく感じさせない。

レコーディングは「一発録り」だ。「ライブアルバム」ではない。失敗はゆるされない。しかし、数曲を除き録り直しになる曲は少なかった。録り直しも、細かいこだわりによるものがほとんどだった。演奏が終わるたびに、エンジニアからの「OKです!」という声が会場に響き渡り、その瞬間、場内の緊張感が少しだけゆるむ。会場に招かれたファンたちは、ミスなく演奏し、レコーディングが進んでいく様子に感激していた。あっという間にレコーディングは終了した。

今の日本の音楽業界に対する違和感

PERSONZのボーカル・JILL氏

そもそも、なぜ彼らは今回のようなチャレンジをしたのか。ボーカルのJILL、ベースの渡邉貢にインタビューを行った。

「昨年、24年ぶりの日本武道館ライブという大きなチャレンジをしました。大きな達成感がありました。あれだけのことをやった後、さあ次は何をしようかと思っていたんです。そんな時にアナログ・レコードで、ファーストアルバムを再録音してリリースするという企画が浮上して。これにかけてみようと思ったんです」(JILL)

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【音楽を消費しているなって…】

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