セレクトショップなど一部のショップでしか購入できなかった細身スーツを、2万・3万円台で販売する仕組みは、まさに時代の流れに合っていました。そして、現在30~40代になった顧客の満足度を高めるため、ツープライススーツ量販店は、この10年「質の向上」に力を注いできています。
SUIT SELECT(コナカ)は、2007年クリエイティブディレクターである佐藤可士和氏を総合監修に迎え、ブランドリニューアルを行いました。ウォークインクローゼットのようなショップの雰囲気、線が細いビジネスマンに向けたスキニーモデルの型紙など、ローコストに加え、合理的洗練を目指した世界観は、既存のツープライススーツ量販店イメージを刷新!
一方、THE SUIT COMPANY(青山商事)は、2010年春夏からシャツラインの監修に迎えていたアントニオ・ラベルダ氏を、翌年秋冬にショップインブランド「アントニオ・ラベルダ」としてデビューさせます。この頃から、インポート生地の扱いも増え、セレクトショップ・百貨店で6万~7万円台で見かけるREDA(レダ)・CANONICO(カノニコ)を4万円台で提供しはじめました。
近年では、業界4社すべてが基本の2万・3万円台に加え4万円台のインポート生地を扱っていることから、「スリープライススーツ」と私は呼んでいます。もはや、ツープライススーツは、安いだけの細身スーツだけではなくなっています。
上場企業の役職者も利用していたスーツ
上場企業で役職をもつクライアントにヒアリングしたところ、下記のような回答を得ることができました。
必ずしも20~30代がツープライススーツ量販店を利用しているというわけではなく、現在では世代を超えたビジネスマンが利用しているようです。ツープライススーツがこれだけ浸透した結果、この業態が打ちだす「スーツシルエット重視」の風潮も定着したのではないでしょうか? そして、その一方、攻めすぎたシルエットのビジネスマンが増えたように、私には見えます。
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