起業家に向くのは、どんな人ですか? 【キャリア相談 Vol.12】

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また、「スキルアップ」についてですが、「スキルアップ」は何のためにするのでしょうか? 筆者は食べていけるように稼ぐため、組織で出世するためではないかと推測します。資格や社会人大学もよいのですが、まずは同期でいちばん仕事ができるようになってはいかがでしょうか? もしそのために資格などが必要なら勉強すればいいですし、上に行くためにTOEICの点数やMBAの学位が必須条件なら、頑張りましょう。

ただし、資格は試験に必要な網羅的な知識の記憶が必要ですが、仕事は正しい論点を設定し、問題を構造化し、できるかぎり早く、他人やPCや書籍を使って解決することが求められます。求められているものが異なるので、「あの人、試験勉強はできるけど、仕事はできないね」ということがあるのです。とにかくまずは目の前の仕事で同期を圧倒的に引き離し、コースに乗りましょう。やりたいことをやるためには偉くなることが結局は近道です。

人に優しく出世する

質問者の方は恵まれた環境の中で、何となく終わりのない日常に対して閉塞感を感じてらっしゃるのかもしれません。ただ、その閉塞感は飢餓感までには至っていないのではないでしょうか? 

筆者が米国のスタンフォード大学で日本の起業環境について講演した際に、日本の「飢餓感の欠如」を強調しました。豊かな中でハングリーでいることは難しいという意味です。わが国ではよほどのクレイジーさがないとリスクを取る気にはならないのです。明日をも知れない国から米国に亡命してきた両親を持つ移民2世のようには、普通の人はなかなかなれません。これは馬齢を重ねた筆者も同様です。

せっかく入った優良企業、将来は結婚して家族が増えてとライフイベントもあり、家族との時間を大切にできる環境かもしれません。世の中に優良企業に入りたくても入れない人や、豊かさを求めても手に入らない人はたくさんいることでしょう。自分がそこにいるのはただの幸運だと思って、人に優しく出世していってはいかがでしょうか? それはチャレンジしがいのあることだと思います。

※ 塩野さんへのキャリア相談はこちら

塩野 誠 経営共創基盤(IGPI)共同経営者/マネージングディレクター JBIC IG Partners 代表取締役 CIO

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しおの まこと / Makoto Shiono

国内外の企業への戦略コンサルティング、M&Aアドバイザリー業務に従事。各国でのデジタルテクノロジーと政府の動向について調査し、欧州、ロシアで企業投資を行う。著書に『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』(NewsPicksパブリッシング)、『世界で活躍する人は、どんな戦略思考をしているのか?』(KADOKAWA)等、多数。

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