「二刀流アスリート」が秘める大きな可能性 投手と野手で活躍する大谷だけじゃない

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野球の場合、NPBだけでも日本人の1億円プレイヤーが70人ほどいる。しかし、野球、サッカー、ゴルフ、相撲、競馬、競輪、競艇などを除くと、1000万円以上稼ぐ日本人アスリートはごくわずかだ。それどころか、日本トップクラスの成績を残しても、生活するのがやっとという競技もある。

二刀流はアスリートがさらに「稼ぐ」方法

今夏にはリオ五輪が開催されて、日本には60名近いメダリストが誕生した。JOCからの報奨金は、金500万円、銀200万円、銅100万円。各協会からも報奨金が贈られるが、日本陸連で金2000万、銀1000万、銅800万円という支給額だった。報奨金の高額な陸上選手が金メダルを獲得しても、総額は2500万円という計算になる。NPBのトップ選手と比べると、金額的なスケールはかなり小さい。

一方、「稼ぐ」ということを考えた場合、ひとつの競技に専念するのではなく、複数の種目に挑戦するという選択肢もあるだろう。近年、ビジネスの現場でも近年、ダブルワークをする人が増えている。もちろんリスクは生じるが、収入源を2つ確保することは、生活面で不安の多いアスリートにとって心強い。人気面などを考えても、「1+1=2」以上の“成果”を残す可能性もある。

米国ではハイスクールまで複数の競技をすることは珍しくない。中にはMLB(野球)とNFL(アメフト)の両方でオールスターに出場した選手もいる。

日本でマルチアスリートといえば、スピードスケートと自転車競技の2種目でオリンピック(冬季4回、夏季3回)に出場した橋本聖子が有名だ。メインはスピードスケートで、スピードスケートと自転車は使う筋肉が似ていることもあり、夏のトレーニングに必ず自転車を取り入れていたことから、自転車競技にも参戦した。

当時、橋本の新たなる挑戦は注目を集めた。その戦いについて、「夏冬を目指すことで体を休めるオフがなくなり、どちらもダメにしてしまう危険性もありました。でも、そういう恐怖を乗り越えてこそ、強くなれるという信念がありました。ダメになることを恐れていては、メダルには手が届かないような気がしました。今でも、その選択は間違っていなかったと思います」と橋本は自身のホームページで振り返っている。

では、具体的にどんな「組み合わせ」にマルチアスリートのチャンスがあるのだろうか。筆者は陸上競技をメインに取材しているが、陸上選手のなかにも、おもしろい選手がたくさんいる。

シンプルに「足が速い」というだけで、多くのスポーツで武器になる。たとえば、リオ五輪で銀メダルを獲得した男子400mリレーで1走を務めた山縣亮太(SEIKO)は広島県の出身。野球経験はないようだが、「代走専門」で広島カープに入団することになれば、話題になるはずだ。出来高払いで盗塁1回100万円。NPBの年俸を考えれば、高くはないだろう。そして、スプリンターの副業としては、かなりの高額収入が期待できる。

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