リオ五輪でアンカーを務めたケンブリッジ飛鳥(ドーム)なら、読売ジャイアンツはどうだろう。ドームが取り扱うアンダーアーマーはジャイアンツとパートナーシップ契約を結んでおり、自社ブランドをPRするにもピッタリだからだ。広島 vs 巨人では山縣とケンブリッジの“塁上対決”が注目を集めて、それが陸上ファン拡大につながる……などとイメージが膨らむ。
ちなみにスタートが得意な山縣の方が1塁から2塁への到達は速いと思うが、2塁からホームへは、200mを得意とするケンブリッジに分があるのではと感じる。
自分の価値を掛け算的に高められる可能性も
ベルリン世界選手権で銅メダルに輝いたやり投げの村上幸史(スズキ浜松AC)は中学時代、野球部で投手として活躍。近年もテレビのバラエティ番組でその剛腕ぶりを見せている。昨年5月には横浜スタジアムで行われた試合で始球式を務めて、球速144km/hを記録(1週間前の投球練習では147km/hも記録している)。なぜか高速スライダーまで操るのだ。NPBで活躍できるレベルではないだろうが、村上は愛媛県の出身。愛媛マンダリンパイレーツの投手として、四国アイランドリーグplusのマウンドに登れば、地元は大盛り上がりするはずだ。
砲丸投げの選手には大相撲が合う気がする。日本記録保持者の畑瀬聡(群馬綜合ガードシステム)は身長184㎝、体重121kgという堂々とした体格。腕を突き出す動きは、相撲の張り手に似ている。日本のレベルを考えると、世界大会に出場するのは難しい状況だが、まげスタイルで世界大会に出場すれば、各国のメディアから取材が殺到することだろう。
大相撲は18年も日本人横綱が誕生しておらず、明らかに人材不足だ。日本人は世界的に見て小柄なこともあり、パワースポーツで成功できる素材は限られてくる。複数のスポーツで有能な人材をシェアするという考え方も必要かもしれない。
人類最速の男、ウサイン・ボルトはマンチェスター・ユナイテッドの大ファンで、「サッカーのジャマイカ代表でプレーするかもしれない」という報道が出たこともあった。ひとつのことを極めたからこそ、別の競技をすることでエッジの効いたプレイヤーとしての活躍が期待できると思うのは筆者だけではないはずだ。
「陸上中距離×7人制ラグビー」「陸上長距離×トレイルランニング」「走り高跳び×アルティメット」「野球×クリケット」など、個々の能力を存分に生かせる組み合わせがあるはずだ。競技をやめて転向するパターンもあるが、アスリートの“寿命”は長くない。複数の種目を同時にこなすことで、視野が広くなるし、得られるメリットは倍以上にあると思う。
「そんなに甘くない」という意見は多々あるだろうし、「絶対に無理だよ」と感じるのが普通の考え方かもしれない。しかし、大谷の例を出すまでもなく、本気でチャレンジしたいという気持ちがあれば、成功する可能性は誰にも否定できないはずだ。
複数の種目に挑戦することで、自分の価値を掛け算的に高めていく。アスリートとして食っていくためには、そういうアピールも必要ではないだろうか。早くからひとつの種目に絞るのではなく、学生時代は複数の競技に取り組み、スポーツで「稼ぐ」ことができるようになっても、マルチアスリートという可能性を残しておく。「柔軟な発想」でスポーツに取り組むアスリートが増えることを期待したい。
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