企業が新卒採用に投じる「1人50万円」の中身 ナビ掲出料や説明会参加費用はいくらなのか

✎ 1〜 ✎ 191 ✎ 192 ✎ 193 ✎ 最新
拡大
縮小

ホームページの制作費は企業によって費用のかけ方が異なっており、大手企業の中には1000万円単位で使うところもあるという。また、会社説明会や面接も社内で行うか、外部の会議室といった有料の会場を使うかで異なる。面接の際も受験した学生に対してどの程度交通費を支払うかによって差が出てくる。

テスト業者に委託する筆記試験やWebテスト、適性検査も、受験者数やテスト内容で金額は異なる。1人当たり1000~2000円のものから、5000円前後かかるものまである。さらにDM発送や電話連絡を外部に委託する企業もあり、そうしたアウトソーシング費用を採用費に計上する企業もある。

合同企業説明会やセミナーについては参考となる資料がある、リクルートキャリアのホームページには合同説明会やイベントへの参画料金が記載されている。たとえば、2017年3月1日に幕張メッセで行われる「就活開幕LIVE東京」の場合、標準ブース(約12平方メートル)の出展料は90万円。スペースの面積や出展する場所で金額も異なっており、倍規模の大型ブースで180万円、特大デモンストレーションブースだと600万円という金額になる。なおこの出展料は机やいすなどの基本備品が提供されるが、パネルなどブースの装飾費などは企業側の負担だ。

合同説明会は、開催日や場所によって集まる学生の数が異なるため、出展料にも差が出てくる。学生の動員力がある開催ほど金額も上がる。同社の参画料金表を見ると、3月1日に大阪で開催する合同説明会の標準ブースの出展料は60万円、新潟で開催する合同説明会の標準ブースの出展料は25万円となっている。時期も3月初旬の出展料が高く、後の日程になるほど価格が下がる傾向にある。

合同セミナーは動員数で出展料に違い

他の就活ナビ会社が主催する合同説明会についても同様で、スペースの広さや日程、動員できる学生の数によって価格も異なるという。

ただ、こうした合同説明会に関しては、「知名度のある企業に対してはある程度のディスカウントが行われる場合がある」と、複数の就職関係者が指摘する。ブランドランキングの上位企業など、人気のある企業が出展社として名を連ねれば、集客の目玉となるため、ある程度の”優遇策”がとられているのが実態だ。

各企業は最初に採用数などの計画を立てると同時に、採用予算も決めているケースが多い。その額は企業ごとの採用環境や採用戦略によって変わってくる。積極的に採用をしたい場合は採用費も大きく、イベント会場での露出やホームページの作り方も、より目立つ形になっているはずだ。そうした視点から企業側の採用意欲を探るのもひとつの手といえるだろう。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT