仕事で「女として見られる」は栄誉なのか? 逃げるべきか、正面から行くべきか

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法人同士の付き合いであれば、その担当者がとんでもない行動に出ることはあまりないかと思いますが、それでもあなたに危険が及ぶ可能性も否定できません。担当を替えるかどうかは別にしても、会社としてちゃんとあなたを見守っている、という姿勢を上司が先方に見せてくれることは必要なことだと思います。ですから、冷静に状況を説明し、営業同行してもらうなどの対応を考えてみましょう。

「営業冥利につきる」などと発言することやからかうような言動も「不快です」としっかり伝えておいたほうがいいと思います。私の周囲の男性陣たちの発言のように、あなたの心身に危険が及ぶ可能性を放置してしまうのは、会社としてリスクそのものですから、それは正しく自覚させておくべきです。

「え? オレの発言がセクハラだったかも?」「万が一のことがあったらオレの責任だよな」くらいのことは思ってもらって、会社として対応してもらわないと、怖い目にあってからでは遅いですから。これはかなりのリスクがある、ということになれば、担当を替えるという判断をされる場合も多いと思います。

営業担当であるあなたが魅力的で「好意を持たれる」ということと、取引の見返りに「あわよくば……」などと考えられることの境界線を判断するのは難しいかもしれないけれど、あなたの危険と隣り合わせの取引なんて失って上等です。自分の感覚を信じて、「嫌だ」と毅然と伝え、会社に守ってもらうこともとても大事だと思います。男性陣にも理解してもらいたいものですよね。

しなやかに仕事をこなす大人の女性はかっこいい

そのうえで、ということになりますが、そのお客様があなたに「淡い恋心」を抱いているとしても、その方に下手なアクションをさせず、最後まで有能な営業担当として仕事を完遂する、ということに挑戦するのもまたひとつの選択肢だと私は思います。

先ほども言ったように、セクシャルな意味でなくても女性として扱われることは、何歳になっても続きます。「オンナは配慮することが多くて面倒くさいな」なんて思われたら悔しいじゃないですか。思わず固まってしまいそうなシーンでも、さらりと受け流し、しなやかに仕事をこなす大人の女性は本当にかっこいいし、その対応が思った以上に株をあげてくれることもよくあります。

ちょっとしたたかになって、「この局面で、私のこの力を見せてやろうかしら」くらいの気概を持てれば、きっとあなたの経験は財産になるでしょう。私の周囲の尊敬する女性たちは、みんな、そんな財産をもってビジネス人生を歩んできた人じゃないかと思うのです。そうした先輩たちは、きっとあなたを応援してくれると思います。どんなことが起きても、「自分にとってどんな経験になるか」を考える姿勢を身に付ける、そんな練習にもなるかもしれませんよ。

堂薗 稚子 ACT3代表取締役

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どうぞの わかこ / Wakako Dozono

1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として多くの企業を担当し、数々の営業表彰を受ける。管理職として、多様な雇用形態の組織の立ち上げやマネジメント、『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長などを経験。2004年第1子出産。2007年当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用され、事業責任者、「リクナビ派遣」編集長を務める。2010年に第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、社内外女性のメンターを務めつつ、ワーキングマザーで構成された営業組織の立ち上げ、マネジメントを担当し、彼女たちの活躍を現場で強く推進した。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、2013年退職。株式会社ACT3設立、代表取締役。女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行っている。2013年2月、リクルート在籍時に東洋経済オンライン「ワーキングマザーサバイバル」連載に登場。FBのいいね!数が6000を超えるなど、話題となった。

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