かくて、再び株価は上昇する
だが、そこに巨大な罠があったのだ。本来、日銀による巨大な買いオペによって日本国債の価格は堅調となり、長期金利は上昇しないはずだ。しかし、米欧の越境する投資主体は先ほど書いたようにデータ分析では考えられないほどのレヴェルで日本株をあえて買い進め、「日本株を持たざるリスク」を急拡大。これに驚いた国内機関投資家たちはまたぞろ「国債から日本株へ」と動き出した可能性が高いのだ(無論、表向きはそうは語らないが)。
その結果、日本国債離れが進むのではないかとの懸念などから、長期金利が急騰。同じく「世紀の名総裁」になるはずであった黒田東彦・日銀総裁は慌てて目を覚まし、大規模な資金供給を実施したのである。その結果、日本株は暴落し、後は茫然と立ち尽くす個人投資家たちだけとなったというわけなのだ。
だがこれで諦めてはいけない。グローバル・マクロ(国際的な資金循環)は動き続けている。「暴落」しても「値がついた」ということは、“誰”かが5・23ショックの当日、大量に日本株を買い集めた可能性が高いのである。とりわけ「国債リスク」との連動が懸念されている地銀株は一斉に売られた。それを“誰”かが一斉に買ったのである。
そしてその“誰か”が明らかになるのはそう遠くない将来である可能性も高い。なぜならば逃げ足の速いグローバル・マクロ系のヘッジファンドたちであった場合、今後再び上げへと転じさせ、物事を忘れやすい私たち日本人が「高騰」に酔いしれている間に一斉に売り抜けるはずだからだ。その結果、「6月は大暴騰の季節」ということになってくる。
最後に余談を一つ――。4月11日にアップしたコラムの中で、私は「安倍晋三首相が電撃訪朝する可能性がある」と示唆した。果たして現実はというと、まずは飯島勲・内閣官房参与による突然の北朝鮮訪問という形で明らかにそれに向けた道が創られ始めている。
私の目から見ると、安倍晋三首相が禁断の「北朝鮮カード」を参院選に向けて切り始めた理由はただ一つである。いわゆる「アベノミクス」による日本株高が場合によっては突き崩される危険性があり、それにだけ選挙戦略を依存するのは危ない、と誰かから囁かれた可能性があるということだ。それではその「誰か」とは一体、誰なのか。
そう想う時、私はロンドン・シティから未だ訪れぬ“あの人”のことを想い出すのである。明らかに世界史の「見えない力」に翻弄され始めた日本。その呪縛は我が国の首相にまで及びつつあるように見えるのは、私だけだろうか。そして今日もまた、フェイスブックで届かぬメッセージを待っている私がいる。*6月2日(東京)に、原田氏の新刊記念講演会を行う予定です。くわしくはぜひ、こちらをご覧下さい。
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