「アベノミクスバブル」が完全に崩壊するとき いまの株価はバブルか?

✎ 1〜 ✎ 19 ✎ 20 ✎ 21 ✎ 最新
拡大
縮小

バブルがもう一山続く条件とは?

そうなると、世界のリスクオンの動きや米国市場の動向に大きく影響されるようになるだろう。ただし、いったん傷が付いたバブルは、そこまでは盛り上がらないから、どこかで、遅かれ早かれヤマ場を迎えることになるだろう。

一方、今回のアベノミクスバブルが幅広いものとなっていれば、すなわち、新しい株式投資家層を増やしていれば、今回の調整を見て、初めて、今回の局面で株を買う人が相当数出てくる展開となれば、バブルはもう一山続くだろう。個人的には、この線は薄いと思うが、可能性は理論的にはゼロではない。

したがって、今後のバブルの動向は、自己実現的に、今、バブル市場に残っている投資家達の期待を反映して決まる。したがって、ただちに暴落が続くわけでもなく、一方、投資家は、バブルがいつまで続くか不安を抱え始めてしまったから、こうなれば、もはやこれまでのように一本調子に上昇は続かない。ただ、バブルが完全に崩壊するとすれば、円安がさらに進行して、ドルベースで考える海外投資家が、完全に利食いに動いたときとなるだろう。

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT