不健全な「株価コメント」に含まれる真実
この不健全なコメントは、明らかに間違っているのだが、真実も含まれている。
まず、健全な調整というのはあり得ない。株式保有者にとっては、こんな心臓に悪い暴落はやめて欲しい。一日だけならともかく、たとえば三日間以上も続く暴落は、恐怖感に耐えられず、売ってしまうかもしれないから、その後、調整して上がるくらいなら、下がらずに上がって欲しい。もう一つ間違っているのは、今後は、そう簡単に上がり続けることはないだろう、ということだ。
一方、これらのコメントに含まれている真実と言うのは、コメントをしている人々の願望をそのまま表しているということだ。株価はもう一度上がってくれた方が、市場関係者としては商売上、望ましい。もちろん、このくらいは、誰にでも想像がつくだろう。アナリストやストラテジストは願望を述べていること、あるいは、多少のそういうバイアスがあることは良く知られている。しかし、悪質なのは、実際にポジションを持っている投資家達は、このコメントに乗じて、次の売り場を探しているということだ。
今回のような急激な暴落は、一部のヘッジファンドが中心となって仕掛けたものと思われる。そして、そろそろ手仕舞いをしようとしていたセンスの良い投資家、あるいは、仕掛けるヘッジファンドと近い投資家は、うまく売り逃げたかもしれない。しかし、プロであっても、多くの投資家は売り損なっている。少なくとも、まだ売るべきポジションは残っている。そういう投資家が多数派である以上、株価はある程度、戻すものなのだ。
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