マリノスは、なぜ好調なのに“赤字”なのか

横浜F・マリノス、嘉悦朗社長に聞く(下)

――何でもマトリックス図で考えることが多いのでしょうか?

そう! 僕はマトリックス人間ですからね。日産の新入社員時代には「マトリックスの嘉悦」と呼ばれていました。

――すごいあだ名ですね(笑)。

僕が日産でやった成果もマトリックス式なんですよ。企業のポテンシャルを最大化するためには、少ない軸で本質をとらえるマトリックス式的思考、つまりクロス・ファンクショナルなチームでなければ駄目なんです。部門単独でやりたい放題やる組織ではなく、すべての部門に横糸を通して活動していく。そうやって企業のポテンシャルをどんどん引き出していく。それは企業もクラブも一緒なんですよね。

55個のアイディアをどう峻別したか

――マトリックスの軸を考えるポイントはありますか?

チームや会社の業績を考えるときには、象徴的な2つの指標があると思うんですよ。たとえば会社経営でいうと、「投資」と「効果」みたいな。マリノスの社長就任当初、「クロス・ファンクショナル・チーム」(CFT)を立ち上げて55個のアイデアが出てきましたが、その中のどれを実行するか、僕が意志決定をしなければいけなかった。そのときもマトリックスで考えました。

――というと?

そのアイデアを実践するのにかかるコストを縦軸に取って(上に行くほどコストが少なくなる軸)、そこから得られる効果を横軸に取る。

最もいいのは、コストが少なく、効果が大きい右上ですよね。逆に悪いのは左下。すべてのアイデアをこのマトリックス図にプロットして、あるラインでスパッと切るわけです。そこより上は採用、下は不採用。そうすればすぐに意思決定できる。視覚的にわかりやすいから、なぜ自分の提案が落とされたかも一目瞭然になる。みんなと共有しやすくなるんです。

――昨季、開幕から7試合勝てなかったときは苦しかったですか?

本当に悩みましたよ。でも、「樋口、中身は本当によくなってきているから、順位は動いていないけど、確実にチームスタイルは右に来ているよ。必ずイメージしたとおりによくなるよ」と言っていた。そうしたら本当に8試合目から右肩上がりになって。本当に驚きました。

次ページ日産からの赤字補填をやめる
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 日本野球の今そこにある危機
  • ブックス・レビュー
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
コロナ時代の勝者と敗者<br>不動産 熱狂の裏側

実体経済の悪化を尻目に、国内外から熱い視線が注がれる日本の不動産。業界の雰囲気とは対照的に、上場不動産会社の株価は軒並み軟調です。コロナ後の新常態で誰が笑い、誰が泣くのでしょうか。現場の最新情報を基に不動産市場の先行きを展望します。

東洋経済education×ICT