”大赤字”だったバルセロナを甦らせた男 フェラン・ソリアーノ・元FCバルセロナ副会長に聞く
――経営陣に入ったとき、FCバルセロナの成績、収益とも非常に厳しい状況だった。前任者にできなかった再建に、どのように取り組んだのか。
私が着任した03年は、クラブの収入が1億2300万ユーロに対して支出が1億9600万ユーロ、7300万ユーロもの赤字を計上していた。誰の目にも、もう変えるしかない、という状況だった。そこで経営陣が一新されたわけだが、私たち新しい経営陣が、外部から入ったことで新しい見方、取り組みができた。
当時は、いわば最低最悪の状況にあり、とにかく変革しよう、という強い意志をもって取り組んだ。そして何を変えるべきか焦点を絞って経営改革に当たった。
FCバルセロナは、非常に長い伝統もある有力なクラブだが、ファンにとって重要なのはチームが勝つことであり、素晴らしいプレースタイルを維持することだ。FCバルセロナは、一般市民が会員となって運営するソシオ、という非営利団体。そのソシオの投票によって私は経営を任された。ソシオというクラブの持ち主が変化を求めたのであり、伝統を守るよりも迅速に体制を変化させるほうが重要だった。
単に「変える」だけでは良くはならない。変化のスピードと範囲も重要だ。変化を起こすときは、一気に、すべてを変えなければならない。そして変化を進める際には当然、状況が不確実になり、カオスになってしまう。この不確実な状況を極力、短くして切り抜けることが大切になる。
変化は早く進めれば、進めるほどいい。1カ月、せいぜい1年の間でしなければならない。そもそも変化を求められているのだから、早いほうが人々は変化の取り組みに対して寛容だ。変革のために、人によっては職を失うことにもなるかもしれない。最初のうちは、より厳しい状況に陥らないために努力が必要だ、とやる気を起こさせることもできる。
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