”大赤字”だったバルセロナを甦らせた男 フェラン・ソリアーノ・元FCバルセロナ副会長に聞く

拡大
縮小

変化の最初は前任者の尻ぬぐいだ。だからある程度のことは許容される。しかし、1年以上たつと、変化は自分自身の尻ぬぐいということになってしまい、周囲から認められなくなってしまう。

1年で目標の80%を変えることができなければ、変化をなし遂げられない、と考えて取り組んだ。1年でできないと、2年目、3年目は、2倍、3倍の労力が必要になるからだ。

――FCバルセロナ5年間の教訓は。

06年にリーグを連覇したあと07年に優勝を逃した。そのとき「変化」を決断できなかったことだ。状況から見て体制を変えるべきだった。そうした認識は持っていたのだが、最終的には何とか乗り切れるだろうと判断してしまった。しかし08年シーズンを終えて行き詰まりは明白となった。中心選手だったロナウジーニョを放出し、ライカールト監督をはじめ、スタッフの体制も一新することになった。

ものごとには上下の波があって、少しでも頂点に近いところ、手前でも、やや過ぎてからでもいいが、そこで変わる決断ができるのが、いい経営者だ。

――世界的な経済危機でサッカー市場にも影響が出ているのでは。

世界不況の影響がまったくない、とはいえないだろう。だが、チームのスポンサーや、放映権の契約は5年、10年という長期の契約になっており、すぐ経営に影響が出る構造にはなっていない。

またヨーロッパでは不景気になっても、旅行やぜいたく品などとは違って、サッカー関連の費用は最後まで削られるようなことはない。たとえ試合に行かなくなってもテレビで見ることになるので、逆に放映権ビジネスが生きてくるだろう。

次ページ日本はドリームマーケット
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT