では、落とすための採用活動を脱却するためには、どうすればいいか。企業が採用対象にしている学校を開示することが一番いいが、学校差別との批判が怖くて、そんなことができる大手企業はほとんどない。
であれば、せめてできるだけ正確で詳細な採用実績校や学部名、学科名の情報を公開してほしい。またどの大学に求人票を出しているかも明示してほしい。そうすることで、採用対象大学を暗に示すことになり、それを見た学生がその企業を受けるかどうかの判断材料になるだろう。
大学側も、学生にそうした情報をできるだけ正確に、詳細に出してほしい。また、就職実績企業での離職率や満足度の調査を行い、就職活動をする学生に情報開示することを行うこともいいと思う。
できれば、第三者機関がこうした企業と大学の情報を取りまとめ、採用の可能性を予測して、その情報を公開するとなおいい。予備校が大学受験の合格確率を出すようなものだ。そうした情報を見ても、「あえてこの企業に挑戦したい」という学生がいても、もちろんいい。安易な応募でないそうした学生なら、企業も「見どころがある」と相手にするかもしれない。
採用指針を「守るふり」はやめよ
情報公開についていえば、企業は自社の選考時期についても嘘をつかずに明示してほしい。経団連の採用活動に関する指針の時期を守っている企業など、経団連傘下の企業でもほとんどないのが現状。なぜ守れていない選考開始時期を”守るふり”をするのか。選考解禁日の6月1日より前、実際は選考面接なのに、「面談」「懇親会」などの名目で行っているのか。
こうした”建前の情報”も学生の不安をあおり、過剰な準備や行動を引き起こし、学業圧迫の状態を作ってしまっている。
嘘で塗り固めたきれいごとの採用広報をやめる。そして正確で詳細な情報開示を行い、自社の採用ターゲットに集中した活動を行うことで、落とすための採用活動は減り、無駄な労力を学生、企業ともに減らすことができる。そうすれば、より重視すべき活動に、双方がじっくり時間をかけることができるだろう。
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