このようにビジネスの最前線でマーケティング戦略を考える際や商品企画を考える際には、まずSWOT分析などを活用し現状分析を行う。そして、そのプロセスはビジネスのみならず、大学生の就職活動にも子どもの受験勉強にも活用できる。そこで今から、どのようにSWOT分析を活用していったらよいのかを考えてみよう。
ビジネスの最前線で活躍するパパやママは、これまでに企業の面接官として大学生に接する機会も多かっただろう。私も幾度となく大学生を面接してきたが、そこで共通する気づきがある。それは、大学生は自分しか見ていないということだ。すなわち、SWOT分析でいうSW=自社の強みと弱みしか見ていないのである。だから、自分探しに没頭する。自分は何者なのか、自分は何をしたいのか。
学生の視点、親の視点
採用するわれわれからすれば、そんなことはどうでもよい。その学生が何をしたいのかはどうでもよく、その学生が何をできるのか、それがわが社にどう役に立つのかを知りたい。学生の視点から見れば、市場が何を求めているのか、これから市場がどう変化していくのかを見定めることができて、初めて自分の強みをアピールできる。
ところが、OT=外部環境の機会と脅威を見る視点が学生にはなかなかないので、自分の強みをうまくアピールできないわけである。大切なことは、「自分の強みとは外部環境の機会と脅威によって定義される」ということだ。自分の強みは自分が決めるのではない。市場が自分の強みを決めるのである。
このようなSWOT分析の視点は、大学生の就職活動だけではなく、ビジネスの最前線で活躍するパパやママが、子どもの教育方針を考える際にも役に立つ。多くの子どもは「僕は算数が得意だ! 図工が得意だ!」と言って、自分の強みをアピールする。また、パパやママの中には、塾のテストの偏差値だけで強みを判断している人もいる。
世の中が、私たちの子どもの時代と変わらないのであれば、私たちが育ってきたときの基準で子どもの強みを判断することもできるだろう。しかし、私たちが子どもだった頃の日本は、加工貿易モデルで大成功を収め、国自体が発展途上期から先進国化する最中であり、市場は高度成長を続けていた。しかし現在は、加工貿易モデルはアジア諸国にお株を奪われ、エレクトロニクス業界に代表されるように、もはや競争力を失っている。国内市場を見ても、市場は成熟期から衰退期を迎えていて、私たちが子どものときに常識であった市場成長モデルで将来を予測することはできない。
だから、私たちがかつて子どもの頃に経験してきた常識で、今の子どもたちの教育方針を考えることはできない。外部環境が変化することで、OT=機会と脅威の判断も変わるからだ。
では、子どもの教育方針を考える際に、SWOT分析でどのような市場機会を導き出せるのか、これから検討していこう。
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