日本企業も熱心に小学校建設を支援
種明かしをすると、こうした現象の背景には、中国独自の教育支援制度の存在があります。中国には、1989年以来の歴史を持つ「希望工程」という公益プロジェクトが存在しており、貧困のため学校に通えない子供たちの支援を目的として、奨学金制度の設立、小学校校舎の新設・修繕、教材や文具の提供などを行っているのです。その財源となっているのが国内外の企業や個人からの寄付で、これまでに230万人以上の児童に就学機会を提供し、8000校以上の「希望工程小学校」が建設されています。
日本企業も、キヤノン、トヨタ、日立、資生堂をはじめ多くの企業がこのプロジェクトを支援しています。たとえば、東芝グループでは2001年から「希望工程小学校」新校舎の建設や図書・備品の寄贈を続けており、これまでに合計22校の新校舎に加えて四川大地震の被災校4校の仮校舎建設に貢献しています。新設の小学校22校にはすべて「東芝」の名前が入っています。
このように、支援企業の名称を学校名とすることは普通に行われており、「資生堂麗源希望小学」「全日空藍天希望小学」などの名前がつけられています。中国社会から感謝され、その証しとして企業名が学校名に残っていくのであれば、ビジネス面だけでなくグラスルーツでの友好促進のためにも意義深いことだと思います。
また、ビジネスを超えた社会的価値の実現を志すブランドであることが事実を通して明らかになっていけば、人々の信頼や親近感の獲得につながります。結果として、ブランドの背後に存在する人々や企業の活動が現地社会に長期的・安定的に受容されることになるでしょう。
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