メルセデス・ベンツ、中国に小学校を作る

小学校の名称に企業名??

社会と共振するコミュニケーション

このような社会貢献は伝統的CSR、つまり支援を必要とする人々に対して寄付・寄贈など「何かをやってあげる」活動です。一方、最近の傾向として「何かを一緒にやる」形が増えています。社会問題に対して企業が深くコミットして、人々と一緒に考え、社会と一体となって現状を改善したり新たな価値を創造したりする、理念共鳴型の社会的ムーブメント創出というやり方です。

アメリカの事例ですが、2004年から2005年にかけて、ナイキとDove(ユニリーバの商品ブランド)が似たようなコンセプトの広告キャンペーンを開始しました。Doveのキャンペーンは「Real Beauty」、ナイキは「Real Women」と題し、共に俳優やモデルでない一般女性を起用して、ターゲット消費者に語りかけるスタイルの広告を展開したのです。

背景にあるのは、商品片手に登場するプロのモデルやスポーツ選手が、報酬を受け取って発信する企業発のコマーシャルメッセージが、消費者に届きにくくなってきたという事情です。あまりに商業的で真実味のないメッセージは、かえって消費者の反感を買う時代に入ってきたのです。

特に成功したのはDoveの「Real Beauty」キャンペーンです。初期の広告にはさまざまなバージョンがありますが、たとえば一般人の高齢女性の笑顔の横に「Wrinkled? Wonderful?」と消費者に問いかけるコピーが添えられています。白髪の女性には「Grey? Gorgeous?」、ソバカスの多い女性には「Flawed? Flawless?」といった具合です。

モデルでも女優でもない普通の女性たちですから、「美」のステレオタイプな定義はなじみません。しかし、彼女たちの生き生きした表情は、モデルたちの作られた表情をはるかにしのぐ迫力と説得力を持っています。見る人たちに「本当に美しいとはどういうことか」の再考を迫ってきます。

女性美の促進に貢献したいDoveというブランドが発信するこのようなメッセージは、当初はあくまで商品を売るためのコマーシャルメッセージでした。ところがこの一連の広告が大きな反響を呼んで、「普通の人々の内面から発せられる美しさこそ賞賛されるべきものだ」という賛同の輪が広がるにつれ、単なる広告からソーシャルキャンペーンへと昇華されるに至ります。

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