最悪!「何でも自分でやりたい病」を治す方法 いちいち100点を目指してはいけない

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私が考えるデリゲーションの目的は2つあります。

ひとつは、自分自身の仕事量を減らすこと。ほかの人に仕事や権限を移管するので自分の仕事が減ります。大きな組織を率いるほど、リーダーの仕事をチームのメンバーに移管しないと、いくら時間があっても自分の仕事は終わりません。

もうひとつは、メンバーを育てること。リーダーの仕事をメンバーへ移管すると、メンバーからすると自分の上のレベルの仕事をすることになります。リーダーの仕事をさせることで、メンバーの育成をすることができるのです。

メンバーが育たないと、リーダーは自分自身のステップアップにつながる、次の仕事にシフトしていけません。いつまでたっても、「俺がいないとこのチームはダメだ」という状態のままになるのです。

実は、「忙しい=偉い」と思っている人は少なくありません。口では「仕事の効率化をはかりたい」とか「働き方を変えたい」と言いながらも残業している人は、心の底では(もしかしたら自分でも知らないうちに)忙しい自分に酔っている可能性があるのです。

私が目指す仕事ができる人の究極の姿は「暇であること」です。特にリーダーであればあるほど、「暇=優秀」といえます。

仕事を頼むときは「点数」を決める

では、仕事をほかの人に任せるときはどうすればよいでしょうか。人に依頼するときはゴールの点数を決めるのが秘訣。

学校のテストや受験勉強では、100点を目指して1点でも多く取ることが価値のあることでした。しかし、ビジネスにおいてはそうではありません。すべての仕事に対して100点を目指してはいけません。むしろ、100点が必要な仕事はごくごく限られています。20点、50点、80点……場合によって、必要な点数は違ってきます。

80点の仕事を100点にするには、60点の仕事を80点にすることの 10倍の労力と時間がかかると言われています。当然ながら相応のコストもかかります。完璧を目指したがゆえに、最低限必要な労力の何倍もの労力をかけてしまうことになるのです。

まず、仕事に取り掛かる「前」に、その仕事のゴールを何点にすればいいのかを決めることが仕事を効率的に進めるときのポイントです。

自分が人に仕事を依頼するときもこれを心掛けておくといいでしょう。たとえば、「何かを調査して、結果をまとめる」という仕事があるとします。このとき、仕事の内容やケースなどによって、あなたが求める必要な点数は違ってくるでしょう。

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