「仕事のミス」は脳を鍛えれば絶対に減らせる

度忘れや勘違い、誤判断が多い人に朗報

──この本では、仕事のミスを4つに分けていますね。

宇都出雅巳(うつで まさみ)1967年生まれ。東京大学経済学部卒業。出版社、コンサルティング会社勤務後、米ニューヨーク大学留学(MBA取得)。外資系銀行を経て独立。心理学や記憶術、速読法を実践研究。脳科学、認知科学の知見を加えた独自のコミュニケーション法、学習法の講座や個別指導を実施。著書に『絶妙な聞き方』など(撮影:梅谷秀司)

4つそれぞれのミスが起こるメカニズムと、ミスを防ぐ基本対策を解説した。具体的には、まず「忘れた」というメモリーミス。二つ目が「見落とし」のアテンションミス。三つ目がコミュニケーションミス。これは「伝わっていない」「聞いていない」とよく言われるものだ。そして最後に、「判断を間違えた」というジャッジメントミス。ミスそれぞれの基本対策だけでなく、上司や同僚、取引先から「すごい」と言われるための応用編として、マスターに至る道も具体的に用意した。

──アテンションミス、つまり見落としの基本対策とは。

結局はワーキングメモリ頼りなので限られている。あるものに注意が行くと、どうしてもほかのものは漏れてしまう。その際、注意の無駄遣いになる気になること、たとえば家庭や自身の健康などへの気遣い要素はなくしておく。コンサルタントがよく使うフレームワークを使うのも一法だ。フレームワークとは「どこに注意を向けるべきかを事前に決めてあるルール」といっていい。古典的だが、仕事術の定番To Doリストを作るのも考慮したい。

いま一つ、単純な作業に慣れると注意力は増すことも忘れないでほしい。車の運転に例えられる。基本的な動作を一つひとつ自分で考えなくてもできるようになったら、それをやりながら複雑なことができる。基本作業に習熟すると、そこに注意がいらなくなる。それを身体の「手続き記憶」というが、単純な作業も、それを反復して確実にできるようにすると、同時に複雑な作業ができる。

集中力を上げるには「ゾーン」に入れ

──アテンションでマスターになるには?

一つのことに集中する究極の形であるゾーンに入ることだ。そこに入りやすくする方法は6つほど考えられる。たとえばそのうちの一つは、ラグビーの五郎丸歩選手のゴールキックで注目されたルーチン。一連の決まった手順を活用する。ゾーンに入れば意識的に注意を向けようという努力がいらなくなる。それだけワーキングメモリを食わない。フルに使えるようになるので、パフォーマンスが上がる。

──仕事のうえでは、中でもコミュニケーションミスは致命的となりかねません。

コミュニケーションとは、普通思われている情報のキャッチボールでは実はない。言葉を刺激として反応が起きている脳の内部プロセスであり、やっているのは単なる刺激交換にすぎない。

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