スシロー、「都心型店舗」から始まる3つの革命 都心初開拓の陰で交錯する再上場への思惑

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二つ目は新レーンの投入だ。注文した商品が1~3分で素早く届く、高速レーン「オートウェイター」を初めて導入。これは回転ずしコンベヤーの大手、北日本カコーと半年がかりで共同開発したものである。高速レーンは手元付近に配置し、通常のレーンは客の目線に近い、高めの位置に設定。商品の見やすさを追求した。

三つ目は客が自分で精算できる「セルフレジ」の導入である。POSレジスタを手掛ける寺岡精工がカスタマイズした。会計処理のスピードを向上させる狙いだ。加えて、自動会計も導入。皿にICチップがついており、スタッフは専用端末を食器に近づければ、枚数を自動的に数えることができる。

自動会計の導入は波及効果ももたらす。従来の店舗ではスタッフが目視で皿などを数えるため、会計処理時のミス防止を目的に値段ごとに食器を違う形にしていた。が、南池袋店では専用端末で読み取るため、皿やグラスなどの形を統一できる。店舗経費の圧縮につながるという。

再上場か、売却か

スシローの業績は拡大路線を突き進んでいるが、懸念材料も少なくない。決算公告によると、2015年9月期は売上高が1350億円(前期比7.2%増)と過去最高を記録。だが、営業利益は43億円(同1.3%減)と横ばいにとどまった。

2015年1月に回転レーンのない「ツマミグイ」、同年11月に職人が握る「七海の幸」という新業態を東京都内で開始したものの、どちらもこのほど閉店した。

数年前から強化している海外展開でも、業界2位で「くら寿司」を展開するくらコーポレーションに比べ、後れを取っている。

経営体制も盤石とはいえない。スシローは2007年に、創業家から株式を取得し業界再編を狙って筆頭株主となった、ゼンショーと対立。2008年に日系投資ファンドのユニゾン・キャピタルと資本業務提携を行い、翌年にはユニゾンが主導する形で上場廃止となった。

その後、ユニゾンは出口戦略として再上場を検討したが、2012年に英投資ファンドのペルミラに売却。結果的にこの10年間で3回も筆頭株主が入れ替わった計算になる。

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