スシロー、「都心型店舗」から始まる3つの革命 都心初開拓の陰で交錯する再上場への思惑
再上場へ弾みをつけることができるのか──。
回転ずし最大手「あきんどスシロー」は9月15日、山手線内で初めての都心型店舗、南池袋店を開店した。スシローを運営するスシローグローバルホールディングスの水留浩一社長はこの店舗を「戦略的実験店舗」と位置づける。
同社は国内409店舗のうち約9割を郊外で展開しており、出店余地のある都市部をどのように開拓していくかが課題となっていた。今後3年間で100出店を目指す中、南池袋店の成否が経営戦略を左右する、と言っても過言ではない。
都心型店の3つの武器
開店初日に南池袋店を訪れると、「たいへんお待たせしております」と、スタッフの接客アナウンスが終始鳴り響いていた。昼食時だけでなく、通常は閑散とする15時を過ぎても、10分待ちの混雑状態だった。その後も客足は途絶えず、「開店から1週間の状況は想定よりも若干いい。すしだけでなく、夜はアルコール飲料の販売も好調」(水留社長)と、出足は順調だ。
従来の郊外型店舗では家族連れが主要顧客だったが、南池袋店では会社員や学生、外国人観光客など幅広い客層に照準を定めている。
ただ、郊外店に比べて、賃料が高いうえに客席数が113席と4割ほど少ない。そのため、すしやサイドメニューの価格を郊外店よりも一律20円高い、120円(税抜き)からに設定。さらに回転率を高めて客数を増やすため、この南池袋店で既存店舗とは違う仕掛けを三つ試みた。
一つ目はメニュー構成だ。南池袋店限定で、学生が好みそうな「ローストビーフマウンテン」や、会社員の需要を狙った1皿3貫で120円の「にぎり3貫」といった商品を投入。
他店では期間限定商品の「厚切り本鮪赤身」なども通常メニューとして展開する。南池袋店立ち上げの責任者である田中俊作・業務推進部長は「この価格でも満足してもらえるように工夫している」と説明する。
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