男性教師による男子への性犯罪は減らせるか 人の性に対する「人権意識」が乏しい

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「生徒が、先生にちょっと話があるから残りなさいとか、後で来なさい、と言われて、行かない選択ができますか? 自分が生徒だったとき、どうだったかを考えてみてください。難しいですよね。それだけ教師は、絶対的な存在なんです。教師と生徒というのは、強者と弱者の関係です」

亀井代表は、問題の根源のひとつは「教師の、人の性に対する人権意識が乏しいことが問題です」と指摘し、防止策を提示する。

「被害者の立場や心理状態を理解する研修が必要です。そもそもセクハラの概念すら理解していない人も少なくない。被害者の気持ちや何をしたらセクハラなのかがわからなければ、気づくことなどできませんし、対応も間違える。遠回りですが性暴力について教員、生徒含めて教育していくことが大切なんです」

被害者の子どもは話したがっている

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教師によるわいせつ行為などの事件

被害を受けた子どもは、学校に通い続けなければならない。先生がやることは間違いないと、黙って耐えることを選ぶ子どもがいないとは、誰にも断言できない。

「海外では生徒手帳に、こういうことをされたら相談をしましょう、と相談場所まで書いてある。日本も同じように、生徒手帳なりに示すべきです。何よりも子どもが相談できる場所を知ることが大切です」(前出・亀井代表)

親としてできることは、子どもの会話や表情に細心の注意を払い被害を食い止めること。

前出の碓井教授は、

「多くの場合、被害者の子どもは話したがっているんです。親なら一緒に買い物に行くでもいいし、ドライブでもいい。そのときに、“実は”と話が出ることもあります」

と、子どもの変化に親が気づくことの重要性を説く。

文部科学省の調査によれば、わいせつ行為などにより処分を受けた教職員の総数は2014年は2年連続で最多の205人にのぼった。今回のケース以外にも、買春や直接触ったり、アダルト動画を見せる者も。

子どもたちが衝動を抑えきれない教師のおもちゃにされないためにも、異変を察知する役割を親は担う。

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