非エリートでもハイパーノマドになれる

ハイパーノマドになるための〈居場所づくり〉

その中間とも言えるバーチャルノマドは、ハイパーノマドにあこがれながら、ノマドになれない定住民。インターネット上だけでも、ノマドな雰囲気を感じていたいという層だ。

この層もまた、下層ノマドと同様、海外の労働者との競争に巻き込まれる。彼らは下層ノマドになることを恐れながら、バーチャルなノマドの世界に浸っているのである。事実、先に触れたファーストリテイリングの世界同一賃金など、正社員という立場を手に入れて安心していたら、一夜にして海外市場に投げ出されてしまう。まさに、下層ノマドの予備軍なのだ。

こうしてみれば、確かに「ノマドは厳しい」という指摘は当然だ。ノマドな働き方に夢ばかりを語るのもまた、問題が多い。しかし、「ノマド以外の選択肢がある」という前提を採ることは、不誠実だろう。将来、起こりうるこうした現実を見据えて、何をしていけばいいのか真剣に考える時期がきている。

下層ノマドではなく、ハイパーノマドになるためにはどうしたらいいのか。今、問われているのは、このことなのである。

ハイパーノマドになるための〈居場所づくり〉のスキル

ノマドな時代を謳歌するハイパーノマドと、それにあこがれるだけのバーチャルノマド、そして低賃金に甘んじるしかない下層ノマドには、どんな違いがあるのだろうか。英語をはじめとした言語スキルは前提として、どのような能力が必要とされるのだろうか。ハイパーノマドとして活躍するためにはどうすればいいのだろうか。

アタリは、ハイパーノマドの例として、エリートビジネスマン、学者、芸術家、芸能人、スポーツマンなどを挙げている。こうした人々は、確かに国境を超えて活躍する。

しかし、そうした世界は、いわゆるレッドオーシャンである。競争に勝ち抜いた一部のエリートだけが享受できる世界だ。そうでない人も、ハイパーノマドとして世界を股にかけて活躍できないのだろうか。いや、できるに違いない。

私自身、このことに気づいたきっかけは、東北での震災ボランティア活動だった。そこでは、エリート層によるハイパーノマド以外のノマドの活躍が目覚ましかった。アタリのいうような他人より優れたスキルをもっているわけではないが、確かに見知らぬ土地にノマドのようにやってきて、その土地に溶け込んで、目覚ましい活躍を見せていた。そこでは、また別のスキルが発揮されていたように思う。

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