ヤマダ電機、家電量販王者が国内外で苦戦 12年度は6割超の営業減益、中国事業も見直し

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

家電量販店のガリバーとして君臨するヤマダ電機が、国内外で苦戦している。

ヤマダ電機は4月22日、前年度(2013年3月期)業績見通しを下方修正した。売上高見通しこそ、従来の1兆7180億円から1兆7040億円(前期比7.2%減)へと小幅な減額にとどまったものの、本業の儲けを示す営業利益見通しは従来の573億円(同35%減)から330億円(同63%減)へと大幅に後退することとなった。

AV機器やパソコンが低迷、値引き競争も激しく

減収減益幅が拡大した理由はテレビ、レコーダーなどのAV機器が想定よりも低迷したうえ、パソコンなど情報機器も伸び悩んだためだ。競合店との値引き競争も激しく、粗利益率を大幅に落とす結果になった。

ヤマダは前年度、大量出店を推し進め、期初の時点では営業利益925億円(前期比4%増)と増益をもくろんでいた。ところが、想定外の家電不振により、昨年11月時点で営業利益見通しを573億円へと下方修正。決算が締まった後で、さらに下振れた格好だ。

とはいうものの、苦戦はヤマダに限らず、国内の家電量販店業界全体に共通することで2位以下の落ち込みは、さらに大きい。ヤマダの減益幅は確かに大きいが、相対的にみると踏みとどまっているほうではある。

ヤマダは同日、中国事業の見直しについても明らかにした。12年3月にオープンしたばかりの南京店について、サプライチェーン構築が思うように進まなかったことなどから5月末で閉鎖する。閉鎖後は他社との資本業務提携、店舗譲渡などを模索しているという。

瀋陽店、天津店については営業を続ける。しかし、反日デモ以降、「積極出店」から「現状維持」へと切り替えた中国戦略を、今度は「見直し」へ切り替えたといえるだろう。南京店閉鎖に伴う損失は未定だが2013年3月期、もしくは14年3月期に在庫廃棄損等を含む一定の特別損失が見込まれる。

(撮影:吉野 純治)

山田 俊浩 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事