これらLINEの広告・販促サービスは、すべて実売につなげることができる。まさに、O2Oの効果を生むものだ。
「ビッグデータ」は使わない
ビジネスの現場において、現在、O2Oは業態を超えた共通ミッションになりつつある。LINEのライバルは、ネット企業だけでなく、NTTグループ、ソフトバンクグループなどの通信事業者、電通、博報堂といった広告代理店など、非常に多い。どのように差別化していくのか。
「競合他社の取り組みはすべて注目している。その中で、われわれの強みは、すでに国内で4500万人以上の利用者を持ち、半数以上の方に毎日使っていただいていること。1日10回以上使っている利用者も多い。LINEは通信キャリアに関係なく使える。
そもそも、われわれはほかのO2O事業者のようにO2Oが目的でLINEを提供しているわけではない、というのが大きい。あくまでコミュニケーションのプラットフォームにO2Oのサービスが乗っている。
クーポンが欲しくてわざわざO2Oのアプリを立ち上げることと、普段使いのアプリに店舗からのクーポンが来る、というのは大きな差。利用者にとっての存在感が違う。そこがLINEのいちばん大きな優位性だ。O2Oは、激戦の領域だが、やるからにはトップを目指す」(出澤氏)。
O2Oのライバルたちは、業態を問わず「ビッグデータ」の活用を強化し始めているが、今、最もO2Oのインフラに近いLINEが、そこをきっぱり否定するのもたいへん興味深い。
「LINEでは、利用者の電話番号と電話帳のつながりを暗号化して取得しているが、それ以外の属性データの収集や分析は、やらない方針だ。LINEにはビッグデータの文脈はない」(出澤氏)。
LINEは、電話帳などの個人情報リストを扱う仕組みのため、利用者を不安にさせる面もある。そのためそれ以上の個人情報の収集・分析を行わない姿勢を貫く。
インフラの覇権争いにおける日本代表「LINE」
現在、世界中のさまざまなエリアで、同時多発的に起こっているのが、スマートフォンのメッセンジャーアプリをめぐる競争、すなわちコミュニケーションのインフラ争いだ。世界230カ国、約8000万人の利用者を持つ韓国の「カカオトーク」、中国では利用者が3億人に達したといわれる「WeChat」が知られている。
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