吉野家会長「うまい、安いを取り戻す」 並盛り280円へ値下げの真相

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競合2社が定価を一段引き下げるとの見方も

吉野家側では、今2014年2月期の業績見通しについて、4月15日に発表する予定だが、価格改定の効果により、「今期の既存店売上高は前期比15~20%増の予算になるだろう」と安部会長は自信を見せる。

ただ、米国産のバラ肉価格は4月上旬時点で1キログラム当たり600円程度。1年前に比べれば150円ほど下がっているが、米国産牛肉輸入停止直前の2003年前後に比べれば、やや高止まりの水準にある。

吉野家が今回、すき家や松屋と同じ280円という定価まで引き下げたことについては、競合大手の幹部も、「われわれは280円で苦戦している。今さら値下げしても、伸びしろは少ないのではないか」と疑問を投げかける。

また、業界関係者の中には、「3社が並盛りの定価280円で並ぶのは初めて。今の期間限定値引きが終われば、すき家か松屋のどちらかが10~20円値下げして、低価格をアピールするのではないか」と推測する向きもある。

米国産牛肉の輸入規制緩和で、ひとまず“うまい”は取り戻した吉野家。“安い”まで取り戻せるかどうかは、4月中旬にも期間限定値引きを終える競合2社が、定価の一段引き下げも含めた低価格路線を強めるかどうかに懸かっている。

(撮影:大塚 一仁)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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