日本一“ハンサム”な、最年少イクメン知事 新世代リーダー 鈴木英敬 三重県知事
「夢は総理大臣」と書いた小学校時代
まず、駆け足で知事当選までを振り返ろう。中学・高校は名門灘中学・高校の一貫教育。ソフトボール部で4番キャッチャーをこなし、一方で素人でも入れる市民オーケストラでチェロも弾いていた。高校では生徒会長も務め、東大経済学部を出て、通産省(当時)へ。恵まれた人生を送ってきたエリートのように見えるが、そうではない。鈴木は兵庫出身の一人っ子。父は小さな損害保険代理店を営む。母も働く共働き家庭。父の育った場所は神戸市長田区。阪神・淡路大震災では、甚大な被害を被った場所だ。
とにかく、寂しがり屋だ。「かまってもらいたいと思って、よく泣いた」。そこで人の注意を引き付けるために、大きな声になった。すでに経済産業省時代は「関西芸人ばりのトークを駆使する、年中無休の24時間営業男」だったが、この絶妙トークも人を引き付けようと、小学校時代に覚えたものだ。
政治家を意識しだしたのは小学校6年生のとき。「テレビで中曽根康弘首相(当時、1982~87年)がアメリカのロナルド・レーガン大統領と親しく話す様子を何度も見た」。日本経済が世界から「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われ、戦後、最も日本が輝いていた時期だ。迷わず、将来の夢に「総理大臣」と書いた。
行政改革と、おせちと、カレーの関係とは?
大学卒業前には、大企業も含め複数の内定をもらっていたが、結局、通産省に入省した。理由は「面接で面白い担当官と会ったから」ということと、入省前に内々定をもらったときに集まった後の同期生が、均質的でなく、多様なキャラクターを持つ人々だったことで、通産省に改革の本気度を感じたからだ。
面接で聞かれた質問のひとつに「行政改革とボンカレーの関係を述べよ」というものがあった。当時はやっていたハウス食品のTVCM「おせちもいいけど、カレーもね」にひっかけた質問(面接官も間違えていたのだ。正しくは大塚食品のボンカレーではなく、ハウスのククレカレー!)だった。
答えられずに「どういう関係があるのか」と素直に聞くと、「需要者は正月にだってカレーは食べたい。行政改革も同じだ。こういう政策しかできません、今はできません、というのは供給者である行政の論理。国民が望む方向に変えていくのが行政改革だ」と言われ、改革の息吹を感じとったのだ。
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