太陽電池市場の低迷が招いた四日市の悲劇 国際競争力の強化に躍起
名古屋から南西へ約40km。東は伊勢湾、西は鈴鹿山系に至る三重県四日市市には、臨海部の石油化学コンビナートを中心に工場が集積する。製造品等出荷額で国内12位、中部東海圏では豊田市、名古屋市、浜松市に次ぐ4位(2008年確報値、市町村別)につける。
三重県で最大、日本全体でも有数の工業都市が、ここ数年挑んでいるのが国際競争力の強化だ。アジアを中心とした海外都市と伍していくべく、官民ともにさまざまな取り組みが進んできた。
その四日市市にとって痛手となる出来事が起きた。
工業用ガスで国内首位の大陽日酸は9月28日、液晶パネルや半導体、太陽電池などの製造に使う特殊ガスについて、独化学大手エボニックグループとの共同事業から撤退すると発表した。四日市コンビナート内にある共同製造工場での生産を今秋中に停止。工場を閉鎖するうえ、精製を行う合弁会社も解散する。
共同製造工場は、南北方向で3地区に分かれる四日市コンビナートの南端。塩浜地区の第1コンビナート内にある。つい1年半前の2011年春に完成、11年秋に製品出荷を始めたばかりのピカピカなプラントだ(=タイトル横写真=)。カラフルなパイプが縦横に配されたプラントの主が、エボニックグループのエボニック モノシラン ジャパンである。