総合商社の国内再生可能エネルギーに拍車。三菱商事は現30万kWを3年後120万kWに拡大へ
総合商社の国内再生可能エネルギー事業に拍車がかかってきた。総合商社首位の三菱商事は9月3日に熊本県、菊陽町、三菱総研と共同で阿蘇くまもと空港に発電出力2000キロワットのメガソーラー設備を設置することで合意したと発表した。これは7月に発表したJA全農との太陽光発電事業に続く2件目の案件になる。8月には、2位の三井物産がソフトバンクグループと鳥取県米子市における太陽光発電事業で合意したばかり。
もともと総合商社は海外で火力を主としたIPP(独立系発電事業)の実績を積んでおり、発電事業はお手の物。海外では、太陽光や風力など再生可能エネルギーでも大きなプロジェクトに出資している。ようやく、日本でも、という格好だ。
なぜこの時期から目立つようになったかと言えば、再生可能エネルギー買い取り制度開始に先立つ6月に買い取り価格が決まったためだ。太陽光発電の場合、大量のパネルを置ける広大な土地を持っているのは自治体か大企業。電力会社への販売価格が決まったことで、土地の貸手である自治体などとの交渉が詰めに向かって進み始めた。もちろん、販売価格が決まったからといって、すべての案件が成約するわけではないが、今後も総合商社絡みの再生可能エネルギー事業が出てくることは間違いない。
三菱商事は2012年7月現在の持分発電容量(参画する発電容量に出資比率を掛けたもの)427万キロワットを2015年度までに600万キロワットにする計画で、うち再生可能エネルギーのシェアは20%(120万キロワット)の予定だ。現状は30.7万キロワットなので、かなり意欲的だ。さらに、現在建設中及び建設準備中の案件を足すと持分発電容量は504万キロワット(再生可能エネルギーは48万キロワット)となるため、全体の計画値は引き上げられる可能性がある。その場合に、再生可能エネルギーの目標シェアを維持するとなると、案件発掘に大車輪ということになる。
(筒井 幹雄 =東洋経済オンライン)
(上写真は三菱商事本社ビル、撮影:梅谷秀司)
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