国内生産は捨てない ホンダ2輪の「改革」

国内の2輪生産を守ることができるか。

11月中旬、タイ・バンコクにあるホンダの2輪工場で、新型車の生産が始まった。「CB500」シリーズ。タイで初めて生産する中大型バイクだ。

中大型バイクは、ホンダの国内生産にとって最後の牙城だった。小型バイク(コミューター)に比べ、部品点数が多く、品質要求も高い。開発・生産両面で習熟度が要求されるため、これまでホンダは、中大型バイクをすべて熊本製作所(熊本県菊池郡)で生産してきた。

円高で空洞化が進む日本の製造業。2輪はその先行指標ともいえる。ホンダがタイで生産を始めたのは、今から45年も前。その後、2輪の海外生産が急拡大する一方、国内生産は縮小に次ぐ縮小を続けた。2008年には2輪の国内生産を熊本に集約、中大型バイクに特化することで生き残りを図ってきた。それでもホンダの2輪生産における国内の比率は、わずか1%しかない。

しかし、その中大型バイクでも海外生産が始まった。二輪事業本部長の大山龍寛専務は「開発体制が充実しているタイには、熊本に成り代わるポテンシャルがある」と語る。

取引先とひざ詰め 

「このままでは国内でバイクを造れなくなる」。渡部勝資・熊本製作所長は危機感を隠さない。いま熊本を舞台に、最後の国内生産を守る改革が進んでいる。

「ギアの形状を変えれば、同じラインで流せます」「図面の変更を検討しましょう」

熊本製作所から車で1時間半ほど離れた九州武蔵精密。ギアやシャフトを生産するホンダ系部品メーカーには、毎月1回、熊本製作所の担当者が訪れる。部品メーカーの生産ラインにまで入り込み、ひざ詰めでコスト削減に知恵を出し合う。

これまでもホンダは部品メーカーと、新技術や新機構を共同開発してきた。ただし部品の生産方法や効率化手法は、あくまでも部品メーカーの領域。互いのノウハウを持ち合い、完成車メーカーが部品メーカーの体質改善まで乗り出すのは、2輪でも4輪でも極めて珍しい。

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