国内生産は捨てない ホンダ2輪の「改革」 国内の2輪生産を守ることができるか。

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改革において国内部品メーカーに与えられた目標は、「中国メーカーに勝つ」(渡部所長)ことだ。

中大型バイクの成算が始まったタイ工場。エンジンも一貫生産する

今年2月投入された「NC700X」。排気量700ccでありながら、65万円からという低価格を実現した中大型の戦略商品だ。同車を熊本で生産するに当たり、ホンダは海外からの部品調達比率を4割まで高めた。中国、ベトナム、タイ…。アジアで部品メーカーを開拓する過程で、ホンダは海外部品メーカーのコスト競争力を把握できた。

国内調達にこだわり

 今後は国内メーカーにも同じ条件を求める。現状中大型領域では日本勢に優位性があり、NC700でもアプローチした海外メーカーのうち、採用に至ったのは54%にすぎない。だが「中国メーカーには技術も技術者もある。2~3年もすれば優位性はなくなる」(渡部所長)。だからこそ、今のうちに国内メーカーに力をつけてもらう必要がある。

ホンダが熊本を維持するだけなら、海外調達を増やせばいい。それでもなぜ国内調達にこだわるのか。

それは感情論ではない。足元で円高の修正が進むように、為替の振り子はどう振れるかわからない。円安になったとき、急に国内に生産を戻そうとしても、部品メーカーが残っていなければ、後の祭りになる。そもそも生産拠点から近い場所で部品を調達するのが、最も理にかなう。

取り組みはホンダ系列6社に広がっている。コミューター部品が中心だった合志技研工業(熊本県合志市)では、中大型バイクのマフラー生産に取り組む。コミューター部品でも3分で製品を切り替える多品種生産に取り組んでおり、「これまでのノウハウを生かせば、中国メーカーに勝てる」(朝吹和博社長)。

当面の数値目標は、部品メーカーのコスト3割削減。ホンダは系列メーカーと成功モデルを作り上げたうえで、2~3年のうちに国内全取引先に波及させる。

ホンダの2輪は国内生産の砦を守れるか。改革によって生まれた部品は、来年立ち上がるモデルから採用される見込みだ。

(週刊東洋経済12月8日号)

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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