日本一“ハンサム”な、最年少イクメン知事 新世代リーダー 鈴木英敬 三重県知事

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台湾やタイなど、海外からの観光顧客誘致にも奔走する。「中国や韓国からも来てほしいが、どうしても団体客が中心で、数が多い分、ディスカウントの要求が高い。そこへいくと、タイや台湾は、値引き要求が低く、観光地も、旅行会社も潤う。調べてみると岐阜県がシンガポールからの顧客を中心に呼び込み、大成功していた」。

担当に任せるだけでなく、自らアンテナを高く張り、時にはトップセールスで現地に乗り込み、一気に流れを引き寄せる。すでに昨年の台湾からの観光客は約2万人。前年比46%増となり、台湾の人々に三重は急速に浸透しつつある。

地方目線で、国の施策へも積極参画

さらに国と地方の橋渡しも積極的に関与する。やはり4月には、鳥取や佐賀など若手知事が集まる「9県知事会議」に岡山が加わる形で、10県の知事で「子育て同盟」が発足した。子育て支援にとんがった取り組みを行っている県同志が同盟を結んで、情報発信や交換を行い、互いに切磋琢磨しながら子育て支援策を実施。国の少子化対策に合わせる形で、意識喚起を行おうというものだ。

昨年は、6月に生まれた男の子のために、育児休暇を取得。「イクメン知事」としてもデビューした。こうした率先垂範を買われ、国の「少子化危機突破タスクフォース」にも名を連ねる。鈴木は「単なる産めよ、増やせよではなく、農業就労など働き方の改革とセットになった対策など、都会ではできない、地方目線からの少子化対策を提案していきたい」と意欲を燃やす。

先日のことだ。タイの副首相と会ったとき、英語でいつものように「私は全国最年少の知事で、最もハンサムな知事なんです」(後段はジョーク)と言ったところ、大いに受け、話もはずんだ。ミーティングの終了時、副首相に「君がいつの日か、日本の首相になることを願っている」と言われた。決して外交辞令ではあるまい。知事として、着実に成功を積み重ねること。それがさらに鈴木への信頼につながり、明日の、一段の飛躍を約束するはずだ。

(撮影:梅谷 秀司)

福井 純 東洋経済 記者

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ふくい じゅん / Jun Fukui

「会社四季報オンライン」編集部長。『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報プロ500』『株式ウイークリー』『オール投資』編集長、「東洋経済オンライン」編集部長、証券部長を経て現職。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)、日本テクニカルアナリスト協会理事

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