中国の若者が普通の「日本料理」に夢中なワケ

グルメドラマ・映画の影響力は想像以上だ

皆さん、このような場面に遭遇したことはありませんか。レストランやラーメン店で、隣の外国人観光客が、英語メニューや料理の写真を見ながら、頑張って英語をしゃべる店員さんとやり取りしてやっと注文。料理が来てから、まずスマホ、デジカメや高級そうな一眼レフで、真剣に目の前の枝豆、から揚げ、味噌ラーメンを、「カシャ、カシャ」と撮影。

その後、またいろいろポーズをして自撮りや集合写真を撮り、すぐにスマホでいろいろ確認したりいじったりした後、やっと食事が始まる。意外なのは、食事が終わった後、はし置き、急須、お皿までカメラの洗礼を受けること……。すべてではないが、中国の若者の大半はこのような行動(の一部)をとる。

中国のSNSが情報発信において大きな影響力を持っていることは周知のことと思うが、その情報発信に「顔値(イエンジー)」というキーワードがある。「顔値」とは、顔の偏差値のような、外見レベルを意味している。インターネット社会になり、写真や動画があふれ、「見た目」で判断する時代になったため、有名人も一般人も、料理も雑貨も、「顔値」が高いほうが当然注目される。

美味しいものを共有したいという欲求

SNSで情報共有の際、文字より写真、写真より動画の若者世界では、美人モードで加工されていない自撮り写真、フィルターをかけて調整する前のお料理写真の掲載は極めて少ない。そして、きれいになった写真・動画をアップし、高級料理でも居酒屋料理でも、自分の暮らしを圏子(チェンズ、詳細はこちら)内で共有するのは一般的である(ちなみに著者の日本カルチャー・ショックの一つは、日本人の知り合いのFacebookへの投稿の少なさである)。

したがって、中国のSNSを開くと、本人より顔値が高い写真や、すごく美味しそうな写真があふれている。「いいね!」を求めるだけではなく、美味しいものを食べたらみんなと共有し、友達と新たなコミュニケーションができることも楽しいからだ。

知らなかったところに行った友達の投稿を見て、行きたくなったら気軽に旅行のアドバイスを聞けるし、現地の様子も少し把握できる。加工されたとしても友人の写真に写った口紅やヒールが可愛いと思ったらすぐにブランドを聞きネットで注文する……現在、SNSにおける情報の交換の場には、「いいね!」と興味を喚起する高い「顔値」が必要となった。

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