これは商学部の学生のランキングですが、理系の場合も日系企業はこの2社だけです。
外資系自体は上位に数多い。2位はP&G、3位はシティグループ、4位はアップル、9位はグーグル、11位はゴールドマン・サックス、13位はマッキンゼー・アンド・カンパニー……。調査している学生層にズレはあるものの、参考までに、日本の大学生の就職希望企業人気ランキング(東洋経済調査)と比較してみると、トップ100で外資系と呼べるのが1社のみで、その志向の違いはくっきりと見えます。
日系企業の2社を見ると、ソニーは59位で、サムスンの61位よりはかろうじて上ですが、トヨタは90位でぎりぎりランクイン。同業他社と比べても、BMWが48位、メルセデス・ベンツが69位、ゼネラル・モーターズが74位、ロールス・ロイスが75位と、決して高くありません。
ここまでくると、日系企業が中国の優秀な大学生にとって、どうも魅力に乏しいということが何となく見えてきます。なぜでしょうか?
日本企業に存在する「総監の壁」
その理由について、すでに多くの方が考察していますが、中国でマネジメントしてきて、いちばん強く実感するのは、日系企業が提供するキャリア・パスが現地のポテンシャル人材の欲求とミスマッチしている、平たく言えば、昇進が見込めない、もしくは遅いことが、現地人材を遠ざけているということです。
やや極端ですが、わかりやすい例では、先ほど名前が挙がった人気外資企業トップ6のうち、4社までが、中国人を現地法人のトップに据えています。一方で、ソニーも、トヨタも、現地トップが中国人になる日はまだまだ先でしょう。
日系企業の現地法人も中国人を昇進させたくないわけではありません。「現地化」と呼ばれてもう久しく、早く現地の人材に任せたい。しかしそこには、「総監の壁」がありました。「総監」とは部長という意味です。「経理」(課長)までは、内部昇進で十分事足りました。しかしいざ総監への昇進となると、極端にメンバーの力不足を感じて、駐在員頼りになってしまうのです。
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