BOE(イングランド銀行)首席エコノミスト、アンディ・ハルデイン氏は最近のスピーチで、英国のGDPは世界経済危機前の最高値を7%上回り、雇用率も6%改善、国民所得も30%増加していると経済統計を引用しながら説明した。国民所得の増加の要因は、ロンドンをはじめとする人気の高い土地の不動産価格が上昇したこと、企業年金の価値が上がったことなどである。
一方、GDPを地域別に見ると、2009年と比較して状況が改善したのはロンドンと南東部だけという現実もある。そのため、英国の1人当たり国民所得は横ばいにとどまっている。
経済学者らは、EU離脱でこの不均衡がさらに拡大すると警告してきた。EU離脱によって欧州と英国との間に貿易障壁が築かれ、欧州統一市場へのアクセスを得ようと企業が海外進出を加速すれば、地方のさらなる雇用悪化を招く。
統一市場のアクセスを保つためには
しかし、こうした懸念は英国民には「専門的な」話に聞こえてしまったようだ。英国民の経済学者らへの感情はこうだった。「国民投票以前に信用できなかった彼らを、今さら信用することはできない」。
すでに英国とEUとの今後の関係について話し合いが始まろうとしている。議題の一つが統一市場へのアクセスだ。多くの企業がそれをのどから手が出るほど求めているが、そのためにはEU域内の移動の自由を認めなければいけない。移動の自由は、英国のロンドン以外の地域における賃金停滞を助長している元凶とみられているものだ。
統一市場に残るためには、ロンドンが経済危機に陥れば英国全体が危機に陥ることも、国際社会に説明しなければならない。英国の金融サービスは雇用の3%を占めるにすぎないが、税収入の11%をもたらしている。税金という金の卵を産むガチョウを殺すべきではないだろう。
とにかく英国民はEU離脱を選択したのだ。これからは“頭文字団体”ではなく、不愉快な経済生活の真実を解説してくれる、新たな専門家が求められている。
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