マザー・テレサの「黒い噂」を追う男の言い分

なぜ平和と慈愛の象徴を批判するのか

9月4日「聖人」に認められた、マザー・テレサ(写真:ロイター/1997年3月撮影)

平和と信義、慈愛の世界的な象徴である人物を批判することは、誰もがすることではない。実際には、そんなことをする人はほぼいない。しかし、アループ・チャタージー(58)は人生の大半をそれに費やしてきた。チャタージーは、故マザー・テレサを最も声高に批判する人物の1人だ。

内科医のチャタージー自身、それが孤独な活動であると認識している。「私は独りぼっちのインド人だ」と、チャタージーはインタビューで語った。「莫大な時間を彼女に費やさなければならなかった。その代償もあったかもしれない。いや、実際にあった」

チャタージーのライフワークは、マザー・テレサが9月4日、「聖人」に認められたことで、当然ながらより困難になる。

「この神話の正当性が問われるべきだと思った」

実際のところ、チャタージーが批判しているのはマザー・テレサの真の姿に対する欧米社会の捉え方だ。チャタージーはマザー・テレサの列聖に伴い、彼女が1950年に「貧者の中の貧者」の救済活動を始めたインドのコルカタ(カルカッタ)に残した遺産について、人々の認識を変えたいと思っている。

コルカタで生まれたチャタージーは、成人するとマザー・テレサにまつわる話に違和感を覚えるようになった。コルカタが世界で最も悲惨な場所、「ブラックホール」と表現されたことが最初のきっかけだ。

「私が仕事をしていたスラム街で修道女の姿を見かけたことは一度もなかった」と、チャタージーは言う。「それは東洋の人々と都市に対するカトリック教会の帝国主義的な思惑であり、私たちの威信と名誉を無視している」

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