「王様は裸だ!」と言える人、周りにいますか

追認バイアスから自由なチームが腐敗を防ぐ

「レッドチーム」の起源は、聖人の神聖さと正統性を守るために設けられた「悪魔の代弁者」にまでさかのぼる(撮影:今 祥雄)
なぜ名だたる有名企業が、次々と世間を賑わすような事件を起こしていくのか? その問題の根底には、「宿題は自分で採点できない」という、あらゆる組織に共通する事実がある。この組織的なバイアスを回避するために生まれたのが「レッドチーム」という考え方だ。本書は、今や欧米の民間企業でも広く運用されるようになったこの手法を、幅広い分野の実例とともに、内側から明らかにした一冊だ。訳者の関美和さんが、その読みどころを紹介する。(HONZ編集部)

バイアスに縛られている私たち

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「どうしてこんな商品が、こんなCMが、こんなデザインが世に出てしまったのだろう?」と、私は思うことがある。おそらく、読者の皆さんにもそうした経験はあるのではないだろうか。だが、本書『レッド・チーム思考 組織の中に「最後の反対者」を飼う』を読んで、ようやく腑に落ちた。

私たちは誰しも、「毎日を過ごす組織の文化に縛られ、上司や職場の好みに自分を合わせがち」だし、「長年なにかに慣らされてしまうと物事を客観的に見られなくなってしまう」のだ。それは何も、私たちが「無能」だからではない。人間の思考と行動は、常にそうしたバイアスに縛られているからだ。

自分の信念を裏付ける事実にばかり目がいくトップの「追認バイアス」。

そのトップの意向に沿うことが自分の昇進になると考える「組織バイアス」。

この2つのバイアスがあるために、組織は、外部から見るととんでもない決定をし、それを執行してしまう。

では、それを防ぐためにどんな方法があるのだろう? 株主のチェック、社外取締役、オンブズマン等々さまざまな方法が模索されているが、「レッドチーム」は、まず軍で生まれ、その後諜報機関が採用し、現在では欧米の民間企業にも広まっている組織運営の新しいトレンドである。

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