宇宙基本法が成立 宇宙開発の競争力回復なるか

宇宙基本法が成立 宇宙開発の競争力回復なるか

民主党参議院議員・藤末健三

宇宙基本法が5月21日に成立した。

07年夏に自民党と公明党が宇宙基本法を衆議院に提出し、今年になってから民主党との調整を行い、自民・公明の宇宙基本法案をひっこめ、3党の法案を新たに提出し、やっと成立した。

この宇宙基本法の成立で日本の宇宙政策は一気に加速される見通しだ。

米国の航空宇宙関連の調査会社・Futron社の調査によると、現在、日本の宇宙の競争力は、世界で7位。アメリカ、欧州、ロシアはもちろん、中国、インド、カナダにも先を越されている(FUTRON's 2008 SPACE COMPETITIVENESS INDEX (SCI))。

日本が宇宙政策において遅れを取っている面としては、行政組織の問題がある。米国は航空宇宙局(NASA)、ロシアは航空宇宙庁(RASA)、ヨーロッパは欧州宇宙機関(ESA)、中国は国家航天局(CNSA)、インドも宇宙研究機構(ISRO)、カナダは宇宙庁(CSA)と宇宙行政を一元化している。これに対し、日本は、主に文部科学省、経済産業省、総務省、国土交通省といった関係省庁がばらばらに宇宙行政を担当。この結果、宇宙政策の非効率性が指摘されている。

これまでの多元体制を改め、宇宙政策の一元化を実現するのが宇宙基本法だ。法案成立により、宇宙政策全体の計画を作る「宇宙開発戦略本部」が設置され、その後1年をめどに宇宙行政を一元的に担う「宇宙局(仮称)」が設置される。この宇宙局は、現在、文部科学省の管轄下にある宇宙航空研究開発機構(JAXA)を所管する組織となり、また、宇宙関連の予算を集約する組織になる見込みだ。

宇宙政策を一元的に統括する基本法については、世界ランク8位の韓国が、3年前に宇宙関連法制を一気に整備、これをテコに競争力を急激に上げている。また、有人衛星の打ち上げに成功した中国だけでなく、インドも宇宙開発に力を入れており、4番目の有人衛星打ち上げ国は、インドになるのではないかと言われている。

一方、日本の宇宙予算は削減が続いている。この流れを一気に変えるためにも、宇宙基本法を宇宙政策の新たなスタートにすべきだ。


防衛の議論にはふれず

宇宙基本法の目的は宇宙行政の一元化と加速だが、「宇宙基本法の成立で宇宙の防衛利用が進む」といった報道も目立つ。これは、自民党にミサイル防衛や早期警戒衛星や自衛隊の衛星通信利用宇宙の軍事利用の私的研究会があり、その”研究会報告を実現するために”宇宙基本法が作られたという認識があるためだろう。

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