「Aさんにも家族や生活があるわけだから、最後まで待つ必要はなかったのではないだろうか」
「組織が消滅することになった以上、より早く新たなステージでリーダーシップを発揮するほうが、Aさん本人にとっても、社会全体にとってもベストだったと思う」
「一目散に逃げるなんて、自己中心的すぎる。そんな人はリーダーとは呼べないと思う」
こんな議論が続く中、水島さんは発言した。
「この場で一目散に逃げ出したら一生、『あのときチームを捨てた人』と思われ、将来、誰からも信頼を得ることができなくなってしまったのではないか」
これに対し、ジョス教授は締めくくった。
「私は、リーダーには強いオーナーシップ(=自分はリーダーであるという当事者意識)が不可欠であり、オーナーシップを持つとは、チームメンバーに対して『心からの思いやりを持つこと』であると信じている。難しい判断に立たされる中、最後までオーナーシップを貫くことを選んだAさんは、真のリーダーだと思う」
水島さんがこの授業で得たものは何だったのか?
「ジョス教授からは、リーダーとしてつねに誠実でいること、難しい局面にあってもそれを貫くことの大切さを学びました。真のリーダーシップとは、清廉なリーダーがチームの信頼を得て、結束力を高め、組織を成功に導くことなのだと実感しました。
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