スタンフォード流、修羅場のリーダーシップ 真のリーダーは、どんな選択をすべきか?

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リーマンショックの影響で、ある金融機関の一部門が閉鎖されることとなった。その部門長のAさんは閉鎖の決定後、部下の再就職先を探すのに奔走し、最後の1人の就職先が決まるまで、会社に残り続けた。その結果、Aさん自身は再就職のタイミングを逃してしまった。Aさんの決断は正しかったのだろうか。

「Aさんにも家族や生活があるわけだから、最後まで待つ必要はなかったのではないだろうか」

「組織が消滅することになった以上、より早く新たなステージでリーダーシップを発揮するほうが、Aさん本人にとっても、社会全体にとってもベストだったと思う」

「一目散に逃げるなんて、自己中心的すぎる。そんな人はリーダーとは呼べないと思う」

エリートたちも、リーダーはどうあるべきか模索する(写真はスタンフォードの学生たち。前列左が水島さん)

こんな議論が続く中、水島さんは発言した。

「この場で一目散に逃げ出したら一生、『あのときチームを捨てた人』と思われ、将来、誰からも信頼を得ることができなくなってしまったのではないか」

これに対し、ジョス教授は締めくくった。

「私は、リーダーには強いオーナーシップ(=自分はリーダーであるという当事者意識)が不可欠であり、オーナーシップを持つとは、チームメンバーに対して『心からの思いやりを持つこと』であると信じている。難しい判断に立たされる中、最後までオーナーシップを貫くことを選んだAさんは、真のリーダーだと思う」

水島さんがこの授業で得たものは何だったのか?

「ジョス教授からは、リーダーとしてつねに誠実でいること、難しい局面にあってもそれを貫くことの大切さを学びました。真のリーダーシップとは、清廉なリーダーがチームの信頼を得て、結束力を高め、組織を成功に導くことなのだと実感しました。

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