スタンフォード流、修羅場のリーダーシップ 真のリーダーは、どんな選択をすべきか?

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「そもそも、直属の上司との相性が悪いからって、避けていてはダメなのでは。コミュニケーションをあまり取っていないんじゃないか」

「部下として何かを与えてもらおうとするのではなく、直属の上司が今何を必要としているかを分析し、その上司をサポートしてあげることで関係は改善できるのではないか」

そんな中、こんな意見も。

「自分から去るっていう選択肢もあるよね。上司の上司に相談して、異動させてもらうとか、転職するとか」

授業では、最終的な解決策として、自分が部下のケースであれば「自分が転職する」、自分が上司であれば「部下を解雇する」ということも考えるが、「そこに至る前に何ができるか」をトコトン考える。

水島淳 (みずしま・あつし)
1981年兵庫県生まれ。2004年東京大学法学部卒業後、司法研修所を経て2005年10月西村あさひ法律事務所(当時西村ときわ法律事務所) 入所。M&A・税法を専門とし、国内外のM&A案件への助言、政府への立法助言等に関与、2007年から2011年まで成蹊大学法科大学院非常勤講師。2011年9月米スタンフォード大学経営大学院留学、本年6月MBA(経営学修士)取得予定。主な共著書に『ビジネスパーソンのための企業法務の教科書』(文藝春秋社)、『シティグループと日興コーディアルグループによる三角株式交換等の概要〔下〕』(旬刊商事法務)

「一見不合理と思えるような状況に、どう対峙したらいいのか、自分なりに考え方の枠組みが見つかり、物事をポジティブに考えられるようになりました。

これまで、物事がうまく行かないとき、『他人や社会制度は変わらないのだから、どうしようもない』と思いがちでしたが、自分が現実を受け入れ切れておらず、状況を打開するために十分に努力していなかったことに気づいたのです」(水島さん)

フェファー教授が、講義で何度も伝えていたのが、「周囲の人々がリーダーに感じていることは現実になる」ということだ。教授は話す。

「周りの人々が『あの人は、私たちの組織に価値をもたらさない人だ』と感じてしまうと、そのリーダーは実際、価値をもたらすことができない。周囲から貢献する機会が与えられないばかりか、仮に貢献したとしても、その人の実績だとは認識されないからだ。

こういう不合理な状況に直面すると、ついリーダーは『この状況は正しくない』と思ってしまうが、これが現実なのだ。現実を受け止めたうえで、現実に対峙して初めて、リーダーとしてやるべきことが達成できるようになる」

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