スタンフォード流、修羅場のリーダーシップ 真のリーダーは、どんな選択をすべきか?

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アメリカのウェルス・ファーゴ銀行で副会長などを務めた後、オーストラリアのウェストパック銀行のCEOに就き、当時、経営難にあった同社をV字回復させた実績を持つ。その後、スタンフォード大学ビジネススクールの学長に就任した。

日本で弁護士としてM&A案件を多く手掛けていた水島さんは、金融業界出身のジョス教授が、何度も「リーダーはつねに誠実であれ、清廉であれ」と言ったことが、忘れられないという。

「リーダーには常に清廉さが必要」と説くロバート・ジョス教授(写真左)と水島さん(同右)

「ジョス教授は、90年代にウェストパック銀行のCEOに就任してすぐに、オフショアのプライベートバンキング部門を閉鎖しました。その部門は儲かっていましたが、クライアントの身元が定かではなく、マネーロンダリングに利用されるおそれが指摘されていました。

そのとき、教授は、組織としてのインテグリティ(清廉さ)を重視し、閉鎖を決断したのだそうです。経営の立て直しを期待されて外部からCEOに就任したのですから、閉鎖はとても難しい決断だったはずです。自ら清廉なリーダーシップを実践した教授の言葉だからこそ、とても説得力がありました」

ジョス教授のゲスト講義は1回のみ。「もっと教授のリーダーシップ論を学びたい」と水島さんは2年目の選択科目として、教授が担当する「Issues in Leadership」(リーダーシップ概論)を履修した。

水島さんは、日本の弁護士として、国際的なM&A案件を手掛ける中、しばしば海外の弁護士を含む多国籍チームでリーダーシップを発揮する機会があった。しかし、難しい局面に立たされることも多かったという。

「チーム全体のパフォーマンスを上げることと、清廉さとをどう両立させるのか」「自分の母国ではない国で、グローバル企業の経営者として成功するにはどうしたらいいのか」、ジョス教授から学びたいことがたくさんあった。

授業は15人という少人数制。ゼロックスを再建した女性CEO、アン・マルケイヒー氏から、南極探検家のアーネスト・シャクルトン氏まで、成功したリーダーのケースを基に、真のリーダーシップとは何か、を学んでいく。

スタンフォードらしく、「修羅場に置かれたリーダー」のケースが多いのも特徴だ。例えば、あるとき、教授は自ら、こんな実話を紹介した。

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