スタンフォード流、修羅場のリーダーシップ 真のリーダーは、どんな選択をすべきか?

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アドバイザー活動と並行して取り組んでいるのが、「起業」だ。スタートアップ企業を理解するにはまず自分でやってみるべきだ、と、留学1年目の冬からスタンフォードの博士課程の中国人学生と組んで、会社を立ち上げようとしているが、まだ形にはなっていない。

スタンフォード大学ビジネススクール
アメリカ・カリフォルニア州、スタンフォード大学の経営大学院。1925年創立。 ハーバードビジネススクールと並び、世界最難関のビジネススクールの1つ。学生数は1学年約400人で少人数制。シリコンバレーの中心に位置し、起業、IT、ベンチャーキャピタルなどのプログラムが充実していることでも有名。「世界に変革をもたらす人材を教育する」ことを学校の使命としているhttp://www.gsb.stanford.edu

水島さんは、スタンフォードで起業のプロセスや方法論を学んだものの、起業で最も重要なのは、「自分の内から来る、“真の情熱”を見極めること」ではないかと感じている。それを実感したのは、著名な起業家のスティーブ・ブランク氏の話を聞いたときだ。

ブランク氏は、シリコンバレーで20年以上にわたって、8社のハイテク関連のスタートアップ企業に従事し、現在は、スタンフォードなどで教鞭を執っている「起業家教育の第一人者」。学生に向けた講演で、次のように語った。

「ある日、卒業を控えた学生が相談に来て、マッキンゼーに就職するか、今友達とやっているベンチャー企業を続けるか迷っていると聞いてきた。私は大笑いして、『君にはチョイスはないよ』と言った。

起業は天からの「啓示」みたいなものだ。とても経済合理的には説明できないものだ。人生の選択肢として、経済合理的な選択=マッキンゼーと迷っているのならば、起業という選択肢はない」

スタンフォードでは、「Be Yourself」=ありのままの自分であれ、と教える。水島さんは、スタンフォードでの学びを契機に、さらに深く自分を見つめる必要性を感じているという。

「自分をもっと因数分解しなくてはと思いますね。弁護士として、あるいは、1人の人間として、本当にワクワクすることは何だろう。自分の中から湧き出る思いを、どうやって形にしていけばいいのだろう。『自分と深く向き合って、ありのままの自分でありなさい』というのは、簡単そうに見えて、とても難しいと感じます。これは数あるスタンフォードでの学びの中で、最も大切な学びだと思っています」 

 

※佐藤智恵さんによるこの連載は、今回でいったん最終回となります。ご愛読いただきありがとうございました。今秋、この連載を大幅に加筆し、書籍として発売予定ですので、どうぞご期待ください。

今連載についてのご意見、ご感想、今後のご要望等ございましたら、ぜひこちらまでお寄せください→ mba-sato@toyokeizai.co.jp

佐藤 智恵 作家・コンサルタント 

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さとう ちえ / Chie Sato

1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして報道番組、音楽番組を制作。 2001年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。主な著書に『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)、『スタンフォードでいちばん人気の授業』(幻冬舎)、『ハーバード日本史教室』(中公新書ラクレ)、『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』(日経プレミアシリーズ)、最新刊は『コロナ後―ハーバード知日派10人が語る未来―』(新潮新書)。公式ウェブサイト

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